Project/Area Number |
13J03528
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Bioinformatics/Life informatics
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大久保 文哉 早稲田大学, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013 – 2015-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2014)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2014: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 化学反応オートマトン / 生体化学反応の計算モデル / チューリング機械 / チョムスキー階層 |
Research Abstract |
化学反応オートマトン(Reaction Automaton : RA)は、大久保・横森・小林によって2012年に提案された、多重集合書き換えによる生体化学反応の計算モデルである。ここで各反応は反応物、抑制物、生成物をあらわす多重集合の三つ組みによって定義される。また、RAは入力記号列を外部から与えることにより、文字列の受理器として定義されている。これにより、従来の計算モデルと比較をおこなうことで、反応系のもつ情報処理能力を計算理論的に解析することができる。 本年度は、従来の極大並列的(maximally parallel)によるRA (RAmp)に加え、「1ステップで1つの反応のみを適用する」ような逐次的適用を用いたRA (RAsq)の計算能力に関して、計算能力の解析をおこなった。このとき、入力の方法として空文字を許す場合(λ入力モード)と、許さない場合(通常モード)を考慮した。これらの種々のRAの計算能力と、従来の計算理論の基となるチューリング機械(TM)の計算能力やチョムスキー階層との比較をおこなった。 結果として、λ入力モードにおけるRAsqはTuring計算万能性を有するが、通常モードにおけるRAsqの計算能力はTMに真に劣ることが示された。この結果は、RAmpがどちらの入力モードにおいてもTuring計算万能性を有することと対照的な結果である。 さらに、RAmpと同様に、RAsqについても領域計算量を制限したクラスを導入し、その計算能力の解析や他の計算モデルとの比較をおこなった。 得られた結果は、国際学術雑誌であるRAIRO Theoretical Informatics and Applicationsに採録された。さらに、これらの結果をまとめ、早稲田大学に博士論文として提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学反応オートマトン(RA)における(i)入力方法、(ii)反応規則の適用方法についていくつかのバリエーションを考案し、計算能力にどのような影響を及ぼすかについて、重要な結果を得た。これらの研究を通し、RAのような多重集合書き換え系をもとにした生体化学反応の計算モデルは、従来のチューリング機械等による計算モデルとは多くの異なる点があることが考察することができた。得られた結果は国際雑誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題として、RAに対して出力機能を付与した化学反応変換機(Reaction Transducer : RT)の提案とその能力の解析をおこなうことがあげられる。また、従来の計算理論の面からの解析に加え、化学反応系の設計論に関する研究を進めていくことが重要であると考えられる。たとえば、(i)基本的な機能しかもたないRAを組み合わせて、望みのシステムを構成するための方法論、(ii)RTに対して入力と実現したい出力の例が与えられたときに、それを実現する反応系の初期分子群を推測する方法論、(iii)RTに対して初期分子群と出力の例が与えられたときに、それを実現する入力を推測する方法論の探求などが考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)