Project/Area Number |
13J03618
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中井 健一朗 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 複素環 / 環化付加反応 / 錯体化学 / ニッケル / クマリン / キノロン / インドール / ルイス酸 |
Research Abstract |
主に、以下に示ず三つの成果を得た。 (1) 炭素―炭素単結合連続切断反応の機構解明 以前に開発した二点の炭―炭素結合連続切断を伴う反応の機構解明を検討している。京都大学福井謙一記念研究センターの榊茂好先生との共同研究を行っており、酸化的付加体や環化体などいくつかの反応中間体及び遷移状態を計算化学的手法によって比較し、最も妥当な反応経路を見いだそうとしているところである。 (2) ニトリルの脱離を利用する環化付加反応の開発 シアノとカルボニルを手土かりとしたニトリルの脱離を伴う環化付加反応の開発を行った。具体的には、以下の二つである。 ① キノロン : オルト位にシアノ基を持つベンズアミドを用いることで、対応する環化付加反応によりキノロン誘導体を合成した。反応相手のアルキンとしてエンインやジインを用いることも可能であり、様々なキノロン誘導体を効率良く得た。 ② ナフタレノン : 同様の手法を炭素環の構築にも利用した。(o-シアノベンジル)フェニルケトンを出発物質として反応を行うと、環化付加反応に引き続くケトエノール互変異性による生成が期待されるナフトール誘導体はほとんど得られなかった。これは微量生成したナフトールのフェノール性水素及び酸素が触媒を失活しているためであると考え、メチル基二つを導入した基質を用いたところ、四級炭素を持つナフタレノン誘導体を得た。 (3) 一酸化炭素及び二酸化炭素の脱離を利用するインドール合成法の開発 これまで得られた知見を活かし、イサト酸無水物から出発しニッケルを用いる反応系にルイス酸を添加すれば、ルイス酸の配位により二酸化炭素の脱離が抑制され、一酸化炭素が先に脱離した六員環ニッケラサイクルの形成を鍵とした反応が進行するのではないかと考え検討を行った結果、一酸化炭素及び二酸化炭素の脱離を伴ったアルキンとの環化付加反応が進行し、対応するインドール誘導体が高収率で得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究員は、計画に従い以前に開発した炭素一炭素単結合連続切断を利用する環化付加反応について、(1)機構の解明、(2)これを利用する新規反応の開発に取り組んだ。その結果、(1)については京都大学の榊茂好先生の協力もあり順調に進展しており、(2)についてはキノロン、ナフタレノンを合成した。その上、研究員のこれまでの知見であるニッケル触媒とルイス酸触媒の共存系を利用することで、イサト酸無水物とアルキンからの一酸化炭素及び二酸化炭素の脱離を利用する環化付加反応によりインドール誘導体が得られることも見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討の結果、炭素―炭素単結合の連続切断を伴う環化付加反応においては、ニッケル触媒を有効な活性を示すことを見いだした。そこで、今後の研究の推進方策として、ニッケル以外の触媒として、パラジウムや白金、ロジウム、ルテニウムなどの遷移金属触媒を用いることで、これまでの問題・課題点を解決することが可能となると考えている。実際に、その端緒をつかむ予備的な知見を得ることにも成功している。今後のこの研究分野の発展を担うものであると考えている。
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