Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
アミドは様々な分野に存在する最も重要な有機化合物の一つであり、エステルとアミンから触媒を用いて直接的にアミドを合成する手法は有用な反応の一つとして盛んな研究がなされている。しかし、求核力の低いアニリンを求核剤とした報告例は限られており、高い反応温度、多い触媒量、基質一般性の制限、など様々な問題を残していた。本研究において私は、こういったアニリンに対する反応の問題点を解決するため、配向基として働き得るピコリン酸エステルに注目した。ピコリン酸エステルの配向性を利用することで、アニリンに対しても温和な条件下で反応が進行し得ると考えた。また、その配向性を利用した反応であれば、その他のエステル存在下においてもピコリン酸エステル選択的に反応が進行する特異な反応となり得ると考えた。一方、近年ではピコリンアミドの配向性を利用したC-H結合活性化反応の研究が盛んに行われている。また、ピコリンアミド誘導体は、生理活性物質としても注目されていることから、合成化学的にも生物学的にも重要な化合物である。私はこのような背景のもと、ピコリン酸エステルとアニリンの温和な条件下におけるアミド化反応の開発を目指した。種々条件検討の結果、Zn(OTf)2のようなルイス酸性度の高い触媒と比べ、Zn(acac)2を用いた場合に高い反応性を示すことがわかった。このことからルイス酸としての働きだけでなく、ブレンステッド塩基としての働きも重要であると考えられる。また、Zn(TMHD)2を用いた際に、最も良い結果が得られた。基質にメチルエステルを用いた際に僅かに高い収率を与え、エステル1.2当量での反応条件でもほぼ同等の収率で目的物を与えた。得られた最適条件においては、様々な官能基が共存可能であり、高い基質一般性を示した。また、本反応ではその他のエステルが共存する条件下においても化学選択的にピコリン酸エステルのアミド化が進行するという特色を示した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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chemical communications
Volume: 50 Issue: 84 Pages: 12623-12625
10.1039/c4cc02014f
Organic Letters
Volume: 16 Issue: 7 Pages: 2018-2021
10.1021/ol500593v
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp/