Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
少なからぬ昆虫種が自らの生存に必須な共生細菌を維持するための特殊な共生器官を発達させる.本研究では,昆虫ー微生物間の必須共生関係が進化する過程で,どのように共生器官が獲得されたのかを解明するため,多様な細胞内共生系を獲得したナガカメムシ類を対象とし,菌細胞塊の進化発生学的起源と共生器官の形成を制御する分子機構の同定を目指す. 本年度は,ヒメナガカメムシNysius plebeiusの菌細胞形成について詳細なRNA-seq解析を行った.具体的には,ヒメナガカメムシの菌細胞形成に必須な転写因子Ubx遺伝子のRNAi処理胚,無処理胚において,菌細胞が形成される部位の細胞群で発現が変動する遺伝子を探索した.
Bowtie2,RSEMを用いてヒメナガカメムシ遺伝子の参照配列にマッピングし,edgeRで時間,処理区ごとに発現量を比較したところ,598個の遺伝子が有意に変動していることが明らかになった(FDR, p<0.001).次に,発現量が大きく変動していた遺伝子群のうち,コントロール区と比べて,Ubx-RNAi処理によって発現量が大きく減少している遺伝子群に注目した.これらの遺伝子群には,共生器官そのものの役割として重要と思われる栄養代謝関連の遺伝子,細胞形態を制御する遺伝子や免疫関連遺伝子が多く見られることがわかった.この結果は、本来昆虫の自然免疫系が体腔中に侵入してくる病原微生物を攻撃するのとは対照的に,免疫関連遺伝子が共生細菌の取り込みや維持に何らかの重要な役割を担っている可能性があることを示唆している.
最後に,共生器官を有する6種のナガカメムシの胚発生を蛍光in situ ハイブリダイゼーション法と共焦点顕微鏡によって観察し,多様な共生器官の形成過程を明らかにした結果について,ドイツの協力者とともに画像データ解析,考察したのち,論文執筆をすすめた.
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