Project/Area Number |
13J05389
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中瀬 将志 神戸大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2014: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 『大鏡』 / 歴史叙述 / 平安時代 / 大鏡 / 花山院 / 文人貴族 / 藤原道長 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、平安時代の歴史叙述『大鏡』を対象として、その生成の背景、あるいは解釈上問題となる点について考察した。具体的には、『大鏡』が禎子内親王(三条天皇皇女、藤原道長の外孫)および、禎子内親王所生の後三条天皇重視の歴史叙述であるという先学の指摘を踏まえながら、『大鏡』の記述に検討を加え、その成立環境の一端を明らかにした。以下に今年度の研究成果の要旨を記す。 第一に、敦明親王の東宮退位をめぐる記述の意義について論じた。敦明親王は、強力な後見をもたなかったため、道長に東宮位を「責めおろ」された。三条天皇―敦明親王と続くはずだった皇統は断絶するわけだが、後三条天皇の践祚によって、三条天皇の血は皇統に再帰する。注目すべきは、後三条天皇が執政者頼通と疎遠であったため、敦明親王と同様、不遇な東宮時代を過ごしたことである。敦明親王と後三条天皇は、血縁的に近しい間柄にあっただけでなく、その境遇もが重なるのであった。『大鏡』において、敦明親王の東宮退位事件をめぐる記述は、大宅世継の語りと、それとは視点を異にする若侍の語り直しとを並記するという特異な形式がとられているのであるが、その背景には、『大鏡』成立時における同時代的な関心の強さがあったと考えられる。 第二に、「源氏の栄え」の内実について論じた。従来、十一世紀後半における源氏(宇多・醍醐・村上源氏)、とりわけ村上源氏の公卿の台頭を予示するものと解釈されてきた「源氏の栄え」であるが、『大鏡』の掉尾に、禎子内親王が女院になることを予祝する記事があることを考え合わせると、源氏繁栄の予言は、男性官人の「栄え」のみならず、天皇の母后としての「栄え」という観点からも解釈可能である。『大鏡』は禎子内親王所生、すなわち藤原氏の外戚をもたない後三条天皇の正統性を補強すべく、禎子内親王の「栄え」を予祝するのであった。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)