コランダム型構造酸化物による新しい混晶系の創成とその応用探索
Project/Area Number |
13J05654
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied materials science/Crystal engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 健太郎 京都大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 結晶成長 / コランダム構造 / 酸化物 / 磁性半導体 / 酸化ガリウム / 混晶 / ワイドバンドギャップ / CVD |
Research Abstract |
コランダム構造酸化物には様々な物性を示すものが多く、その混晶は魅力的である。これまで固溶限が大きいα-(Ga, Fe)_2O_3薄膜が、金属間化合物等の析出物や混晶における元素の濃度分布の偏りが無く、さらに300Kで磁化のヒステリシスカーブを示す事を報告してきた。これらの結果から、α-(Ga, Fe)_2O_3が真の磁性半導体である可能性が高いが、その磁化発現機構を解明するための電子状態、また実用デバイスへの応用上重要である電子輸送特性について評価を行わなかった。そこで、物質材料機構の上田茂典博士、大阪府立大学の山田幾也講師ご協力のもと、Spring-8のBL15XUラインでの硬X線光電子分光(HAXPES)手法を用いて、電子状態評価を行った。その結果、α-(Ga, Fe)_2O_3の磁化発現がFe金属の析出由来では無い事、α-(Ga, Fe)_2O_3薄膜中のFeイオンは3価で存在している事が示俊され、GaサイトにFeイオンが置換固溶しており、またFeOやFe_3O_4等の磁性酸化物が含まれておらず、これらの磁性酸化物が強磁性発現の原因でない事が示された。さらに、α-(Ga, Fe)_2O_3について、フランスVersailles大学のYves Dumont教授、Ekaterina Chikoidze研究員のご協力のもと、Hall効果装置を用いて電子輸送特性を測定したところ、移動度がμ=7.8cm^2/Vs、キャリア密度がn=8.9×10^<14>cm_<-3>を示し、磁性半導体として比較的高い移動度を示した。さらに、磁気モーメントの磁場強度依存性を測定したところ350Kまでヒステリシスループが確認され、キュリー点が350Kを超えている事を確認した。これらの結果から、α-(Ga, Fe)_2O_3は室温以上の温度で強磁性を示す磁性半導体であり、室温動作が可能である事から応用可能性の高さを示す事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
spring-8のラインを使用させて頂いた事で構造評価は大きく進み、またその結果、α-(Ge, Fe)_2O_3の磁化発現機構の解明に大きく前進した。しかしながら、バンド構造計算による実験値との比較や、Snドーピングによるキャリア密度の向上等を行う事が出来ず、研究の実施ペースとしてはやや遅れている印象がある。その理由として、膜中の不純物を低減させるための装置改良に予想以上の時間がかかってしまった事が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
α-(Ge, Fe)_2O_3を強磁性電極に用いるスピントランジスタの開発のためにはα-Ga_2O_3/α-(Al, Ga)_2_O_3界面における2DEG形成が必須であり、早急に実現する必要がある。そのためにはまず、Snドープα-(Ge, Fe)_2O_3のドーピング量に対する正確なキャリア密度制御及び高温域でのSnドナー失活の問題を克服しないと、α-(Ge, Fe)_2O_3へのSnの変調ドーピン、及び高温成長による急峻なα-Ga_2O_3/α-(Al, Ga)_2O_3界面の形成は実現しない。これはとても大きな課題であり、未だに実現されていないので、最優先すべき課題である。さらに、α-(Ge, Fe)_(2) O_(3)以外の機能性酸化物であるα-(In, Fe)_2O_3、α-(In, Fe)_2O_3、α-(Ga, V)_2O_3の作製を行い、物性評価を進める。α-(Ga, V)_2O_3は既に作製を行い、物性評価を進めているが、結晶性の高い薄膜の作製に難航しており、その問題を克服する必要がある。また、本年度以降の記述については本研究課題は平成25年度が最終年度のため、記入しない。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)