非クラマース状態を持つd電子系における相関効果と電荷ダイナミクス
Project/Area Number |
13J07363
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
物性Ⅱ(磁性・金属・低温)(理論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
那須 譲治 東京大学, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013 – 2015-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2014)
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Budget Amount *help |
¥2,630,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | スピン軌道相互作用 / イリジウム酸化物 / 強相関電子系 / 軌道自由度 / 量子スピン液体 |
Research Abstract |
近年, 5d電子系をはじめとしたスピン軌道相互作用の強いモット絶縁体の研究が精力的に行われている。ここでは, スピン軌道相互作用と電子間相互作用の競合, 協力によって生じる新しい量子状態の探索とその物性の理解が主な課題とされている。本研究課題では特にスピン軌道相互作用の強い5d電子系の磁気状態に注目して研究を行ってきた。5d電子系においては, スピン軌道相互作用により軌道自由度とスピン自由度が強く結合する。これにより磁気的相互作用は, 5d軌道の空間的な異方性を反映して, 結合方向に依存した異方的なものとなる。特に, 5d軌道に電子が5つ占有する場合には, Kitaev相互作用と呼ばれる結合方向に依存した特殊な相互作用が現れる可能性が指摘されている。このKitaev模型は, 近年, 固体物理や量子情報などを含む幅広い分野で注目を集めている。本研究では, このKitaev相互作用によって生じる新規な磁気状態の探索とその起源を明らかにすることを目的に以下の2つの課題に取り組んだ。 (1)Kitaev模型における特異な有限温度相転移 : 本研究ではKitaev模型を3次元に拡張した模型の相転移の性質を調べた。その結果, 高温の常磁性相から低温の量子スピン液体相への有限温度相転移が生じることが明らかになった。また, 帯磁率は転移点近傍では異常を示さず連続的に振る舞う一方, 帯磁率の温度微分が転移点で発散的に増大することが明らかになった。この相転移は2次転移であるが, 対称性の破れを示さない。 (2)スピネル型イリジウム化合物CuIr_2S_4における特異な磁気状態 : CuIr_2S_4で実現する八量体内の磁気状態を明らかにするために, スピン軌道相互作用を取り入れたIrイオン間の有効相互作用を摂動展開により導出し, その磁性を詳しく調べた。有効模型はKitaev模型に追加項が加わった形となる。この模型を解析することで, スピン軌道相互作用の導入に伴い, 弱い常磁性的な振る舞いが現れることが分かった。この結果は, 近年CuIr_2S_4において観測されている低温での弱い常磁性的な振る舞いとコンシステントである。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)