Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
近年、同一経路に機能すると考えられてきたRNA結合因子群が、異なる遺伝子群の発現を調節することで細胞内イベントを制御することが明らかになっている。しかしその分子基盤については明らかになっているものは少ない。本研究で扱うUAP56と相同遺伝子であるURH49も同様に選択的なmRNA輸送に機能するが、その分子基盤は不明である。そこで27年度は①UAP56ならびにURH49が形成する複合体の構成因子の網羅的同定、②UAP56、URH49及び複合体形成様式に変異を起こした変異体の結晶構造解析、③UAP56ならびにURH49が認識するmRNA配列の同定を試みた。①UAP56とURH49が形成する複合体を免疫沈降法により精製し、LC-MS/MSにより構成因子の同定を行った。その結果UAP56には既存のTREX複合体構成因子が同定され、URH49にはRNA結合因子やスプライシング調節因子が新規に同定された。よってURH49はこれらの因子と協調的に特定のmRNA輸送に機能することが示唆された。②26年度に構築した方法により各蛋白質を大量に精製して結晶化し、X 線結晶構造解析を行った。その結果UAP56とURH49は異なる構造をとることが明らかになり、この構造差異が複合体形成様式の差異を生むと考えられる。③26年度に構築したPAR-CLIP法を最適化し、UAP56ならびにURH49が結合するRNAを精製した。現在このRNA配列の解析を行なっている。これらの解析により、選択的mRNA輸送を介して細胞状態に適した遺伝子発現を制御するUAP56ならびにURH49の構造学的差異、それに基づく複合体形成様式の差異、両者によるmRNA認識配列の差異を明らかにでき、分子レベルで選択的mRNA輸送を理解することが可能になる。またこの解析は他のRNA結合因子による遺伝子発現調節機構解析の模範となりうる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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