Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では高等真核生物におけるRNAサイレンシングの構造基盤の解明を目的とした。本年度はArgonauteファミリータンパク質の構造解析に着手した。Argonauteは小分子RNAに結合しRISCとよばれる複合体を形成する中核因子であり、様々な特徴の違いによりAGOサブファミリーとPIWIサブファミリーの2つに大別される。AGOは22塩基長程度の小分子RNAに結合し種々の生命現象にかかわる、一方でPIWIは24-31塩基長の小分子RNA (piRNA) に結合し動物生殖巣においてトランスポゾンの発現を抑制する。この違いに加えてAGOとPIWIはRISC形成機構が異なる。近年真核AGOの結晶構造が相次いで報告されたが、その作動機構は完全には明らかになっていない。またPIWIについてはこれまで試料調製の困難さゆえに構造決定に至っていなかった。まずシロイヌナズナ由来Argonaute7 (Ago7) を解析対象として昆虫細胞を用いた発現・精製系を確立することに成功した。しかしながらタンパク質収量が極めて低く結晶化に至らなかった。次にPIWIタンパク質を解析対象とした。一般的な培養細胞ではなく動物由来生殖細胞を用いて、PIWIを特異的に認識する抗体を利用した精製系構築を目指した。生物種や精製条件の検討の末、カイコ由来PIWI (Siwi) を精製することに成功し、その結晶構造を2.4 Å分解能で決定した。SiwiはほかのArgonauteと同様、N-PAZローブとMID-PIWIローブからなっていた。Siwiは生殖細胞内在性のpiRNAと結合しており、それらの相互作用様式を明らかにした。さらに真核AGOと構造比較することでN-PAZローブの構造に大きな差異があり、その違いがAGOとPIWIの機能の違いを生み出すことを見出した。本研究成果は現在投稿準備中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cell Reports
Volume: 11 Issue: 3 Pages: 1-10
10.1016/j.celrep.2015.03.030