Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
地球温暖化抑制対策を背景とした乗用車の車体軽量化(CO 2排出ガスの低減)と, 乗員安全確保のための衝突安全性向上を目的として, 残留オーステナイト(γ_R)の変態誘起塑性(TRansformation Induced Plasticity ; TRIP)効果を利用した超高強度TRIP型マルテンサイト鋼板(TM鋼板)の開発とその機械的特性の評価を行った. 供試鋼板に, オーステナイト化後のマルテンサイト変態終了温度(M_f)未満での極低温変態処理を施したTM鋼板を試作し, その強度, 靭性, 冷間プレス成形性の評価を行い, 金属学的組織因子との関係を検討した. さらに, 機械的特性の改善を目的として, Cr, Mo, Niを単独または複合添加したTM鋼についても, 同様の研究を行った. 1. 超高強度TR1P型マルテンサイト鋼板の優れた冷間プレス成形性 TM鋼板の引張強さは1.5GPa級の超高強度となり, 延性および成形性は従来型の焼入焼戻鋼板よりも高くなった. とくに, 伸びフランジ性が大きく改善された(約15%の増加). これは, (i)炭化物の少ないマルテンサイト母相と(ii)微細分散されたMA相, (iii)高いγ_R体積率により, 打ち抜き損傷の軽減と穴広げ時のボイドの成長・連結が抑制されたためと考えられた. 2. 超高強度TRIP型マルテンサイト鋼板の優れた強靭性 TM鋼板のシャルピー上部棚衝撃吸収値(121J/㎠)は, 一般構造用SCM420鋼板(57J/㎠)よりも約2倍高くなり, 延性-脆性面遷移温度も大きく改善された(約−140℃). これは, 1-(i)~(iii)により, ボイドの発生および成長, 連結の抑制と, 擬へき開裂の多方向化とその進展が抑制され, 破面単位が小さくなったことに起因したと考えられた.
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