酸化ストレス応答を指標とした二次生成有機エアロゾルの生体影響評価に関する研究
Project/Area Number |
13J09149
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Hygiene
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
戸次 加奈江 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 二次生成粒子 / 酸化ストレス / 炎症 / HO-1 / IL-8 |
Research Abstract |
本研究では、ヒト肺上皮細胞における酸化ストレス及び炎症性遺伝子の誘導と、その発生機序について調べ、酸化ストレス反応を中心としたSOAの毒性に関する詳細な科学的知見を得ることを目的としている。本実験に用いた3種類のSOA(α-pinene, m-xylene, 1,3,5-trimethylbenzene (TMB))は、いずれも酸化ストレスマーカーであるheme oxygenase-1 (HO-1)遺伝子の発現を有意に増加させ、特にm-xylene由来のSOAで高い活性を示した。一方で、炎症性のケモカインであるIL-8の誘導はSOA曝露では見られなかった。このSOA曝露によるHO-1の誘導には、主にnuclear factor (erythroid-derived 2)-like 2 (Nrf2)を介した転写活性化が重要であり、さらに、SOAによるNrf2の活性化には細胞外からのカルシウムの流入やphosphoinositide 3-kinase (PI3K)リン酸化酵素が関与していることがわかった。次に、炎症時に肺で産生される腫瘍壊死因子(TNF-α)で細胞処置すると、m-xylene由来SOAによるHO-1の誘導がさらに増加した。また、TNF-α曝露によってIL-8遺伝子の発現が誘導されたが、m-xylene由来SOAはこのTNF-αによるIL-8の誘導をさらに増加させた。以上の結果から、SOAはヒト肺上皮細胞において酸化ストレス反応を誘導するとともに、慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)等の呼吸器系疾患等に見られる肺炎症時において、さらなる病態の悪化を招く可能性が示唆された。これら呼吸器系細胞に対するSOAの毒性に関する情報は、SOAの削減に向けた問題提起や、規制のための根拠となる基礎的データとして重要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)