分子内アリル化を基盤とする海洋産天然物の収束的合成研究
Project/Area Number |
13J09255
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸 敬之 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2013
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 有機合成化学 / 天然物合成 / ポリ環状エーテル / タムラミドA / 分子内アリル化反応 |
Research Abstract |
海洋生物が生産する二次代謝産物には、強力な生理活性を示す化合物が数多く見出されており、画期的な医薬シーズや生体機能分子の供給源として期待されている。中でも多数のエーテル環がトランスに縮環した梯子状分子構造を有する、ポリ環状エーテルと呼ばれる化合物や分子内にテトラヒドロピラン環を含むマクロライド天然物は、その特異な分子構造や強力な生理活性のため、世界中の化学者・生物学者から注目を集めている。しかしながらこれらの化合物は、天然からはごく微量しか得られないことが多く、生物学的関連研究が立ち遅れている現状がある。そこで、これらの希少天然物の量的供給を実現するため、化学合成法の確立を目的として研究を行った。 当研究室ではこれまでに分子内アリル化反応と閉環メタセシスを鍵反応とする、ポリ環状エーテルの収束的な骨格構築法を確立している。そこでこの方法論を活用し、2010年に単離された新規ポリ環状エーテルであるtamulamide Aの合成研究を行った。本研究ではtamulamide Aの縮環エーテル骨格をABC環部フラグメントとFG環部フラグメントから合成し、最後に左右側鎖を導入するという合成戦略で(-)-tamulamide Aの初の全合成を達成した。 また、これまでに確立した分子内アリル化反応を基盤とするポリ環状エーテルの骨格構築法をテトラヒドロピラン環の合成へと応用し、分子内にテトラヒドロピラン環を有するマクロライド天然物であるenigmazole Aの合成研究を行った。本研究では、Evansアルドール反応やBrown不斉アリル化反応を用いることでC1-C10フラグメントの効率的な合成法を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、Tamulamide AおよびBの合成研究においては、Tamulamide Aの全合成を達成することができ、2年目以降に行う予定であったEnigmazoleAの合成研究においてもフラグメントの合成を完了することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、Enigmazole Aの合成研究を引き続き行う。まずC11-C24フラグメントの合成を行い、これを、すでに合成が完了しているC1-C10フラグメントと連結する。その後、鍵段階である分子内アリル化反応によってテトラヒドロピラン環部を構築し、最後にマクロラクトン化を行うことで全合成を達成する予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)