小胞体ストレス応答性ユビキチンリガーゼの分子機構解析と神経変性疾患治療への応用
Project/Area Number |
13J09807
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
齋藤 僚 千葉科学大学, 薬科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / 小胞体関連分解 / アルツハイマー病 / タンパク質不溶化 / 小胞体ストレス / 酸化ストレス / 凝集体形成 / アミロイドβ |
Research Abstract |
小胞体関連分解(ERAD)機構は、小胞体におけるタンパク質の成熟過程に関与するタンパク質品質管理機構の1つである。ERAD機構の破綻は、小胞体ストレスと呼ばれる「小胞体内腔における異常構造を持ったタンパク質の蓄積」を引き起こし、関連する種々の神経変性疾患の発症に寄与することが報告されている。本研究課題においては、アルツハイマー病(AD)発症原因としてのERAD機構の破綻を仮定して研究を行い、AD患者死後大脳皮質を用いた小胞体ストレス応答関連遺伝子および関連タンパク質の発現解析を行った。Real-time PCR法により小胞体ストレス応答遺伝子の発現量を解析した結果、AD患者の大脳皮質は小胞体ストレス状態にあることが示唆された。また、APPの代謝分解に寄与し、ERAD関連因子であるユビキチンリガーゼHRD1がAD患者の大脳皮質において特異的かつ有意に減少していることが明らかとなった。一方、培養神経細胞を用いた解析では、過酸化水素や4-ヒドロキシノネナールなど、活性酸素種等に起因する酸化ストレスによってHRD1タンパク質が小胞体外に凝集し、不溶化することが明らかとなった。また、同ストレスによるHRD1タンパク質の損傷により、小胞体に局在する機能性HRD1タンパク質(NP-40可溶性HRD1タンパク質)の減少が生じる可能性が示唆された。上記知見より、酸化ストレスによるHRD1タンパク質の不溶化と機能性タンパク質の減少は、HRD1介在性のERAD機構を破綻させ、Aβの産生増加およびAβ誘導性の酸化ストレスを惹起する可能性が示唆された。また、上記ERAD機構の破綻とAβ産生増加の悪循環は、小胞体ストレスや神経変性を惹起させ、ADの病態形成を促進させる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度以降遂行予定であった実験が概ね終了したため
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Strategy for Future Research Activity |
種々のRING型ユビキチンリガーゼは酸化的修飾によって酵素活性を失う他、タンパク質として不安定化することが報告されている。これらの知見をもとに、今後は同RING型ユビキチンリガーゼであるHRD1タンパク質の詳細な不溶化機構の解明に挑みたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)