Research Abstract |
本年度は動的に変化する複数環境下での解の一般化を実現する, ピボット型一般化という動的環境にロバストな解の表現方法の理論構築と実データによる実証実験に取り組んだ. ピボット型一般化, 環境変化に対してできるだけ少ない解の変更で, 評価値をある程度保てる(または, 大きく性能を変更できる)ロバスト解表現を可能にするもので, ベースとなる解(ピボット解)に対して変更可能点を複数保持することにより複数の解の構造が近しい解を1つにまとめる表現であり, 従来の一般化では単目的空間でしか適用できなかった概念を多目的空間に拡張することが可能となった. ピボット型一般化の有効性の検証のために, 多目的0/1ナップサック問題と実データを用いた災害時における隅田川河川舟運最適化問題に適用したところ, (1) 全組みあわせのみの表現であった従来の学習分類子システムの一般化に対し, ピボット型一般化により全組みあわせのうち, 適切な解のみの一般化を可能にしたこと, (2) 一般化を調整する指標であるSharp Distanceを用いることで, 少量の解の変化である程度性能を保てる解と, 各評価軸に特化した解に分けて一般化できること, (3) 実問題である震災時を想定した隅田川河川舟運の11駅を持つ路線網最適化問題に適用可能であることを示すとともに, (4) ピボット型路線網最適化問題の解の分析をしたところ, 11駅の中で環境変化に変更可能な船着場を抽出するだけでなく, 路線網運用上重要な駅(変更が許されない)を抽出することに成功した. この分析により, 重要な駅に対して比較的多くのリソースを配分するといったような, 実応用に向けてより高度な情報を抽出できる可能性を示した. さらに, (5) ピボット型一般化解を用いた解生成手法を考案し, より多様な一般化解の獲得と解探索性能の向上に成功した.
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