Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究の目的は、ガンマ波発生時における一次視覚皮質の神経細胞の活動様式を明らかとすることである。前年度までの研究において、我々は1 msの単純なフラッシュを視覚刺激として用いてガンマ波を誘導することで、マウスの視知覚が調節されることを明らかとしてきた。このガンマ波は遅延性応答として観察された。そこで、我々は、この遅延性応答の発生源を特定することを試みた。サルなどの研究において、感覚皮質で観察される遅延性応答は高次皮質からの逆行性入力によると考えられてきた。そこで、マウスにおいて視覚皮質に逆行性投射を送る高次皮質である前帯状皮質にテトロドトキシン(電位依存性ナトリウムチャネル)を処置することで、その神経活動を阻害した。しかし、視覚皮質の遅延性応答は阻害されなかった。つまり、高次皮質からの逆行性入力は遅延性応答の発生に寄与していないことが示唆された。一方、低次視覚領域である視床の外側膝状体を光遺伝学的に抑制すると、視覚皮質の遅延性応答は阻害された。実際、外側膝状体でフラッシュ応答を記録すると、遅延性応答が観察された。しかし、興味深いことに、視覚経路の最上流である網膜で遅延性応答は観察されなかった。これより、遅延性応答の発生源は外側膝状体であることが示唆された。本研究は、古典的に遅延性応答は高次皮質からの逆行性入力によって担われていると考えられてきたものを覆す成果であるといえる。遅延性応答は、視覚経路の下流ではなく、上流で発生していることを示した初めての知見である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 3 results) Presentation (11 results)
Cerebral Cortex
Volume: pii: bhv310
PLoS Biology
Volume: 13(8)
Anatomical science international
Volume: 91(2) Pages: 188-195