18世紀後半から19世紀前半のドイツ語圏における「ガイスト」の概念史
Project/Area Number |
13J30001
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久山 雄甫 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員PD
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Project Period (FY) |
2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ゲーテ / ガイスト |
Research Abstract |
平成25年4月から9月までの採用期間中には、以下の2点を中心に研究を実施した。 1. ゲーテにおけるガイスト概念と「詩的なもの」との関連性 2. 1775年までのゲーテの著作におけるガイスト概念の用法 1 : 前年度に行ったゲーテのナマケモノ観についての研究から、ゲーテが自然を探究する際に、単なる「感性」ではなく、むしろ「想像力」をこそ重視していたことが明らかになった。この「想像力」をゲーテはある遺稿の中で「詩的なメタモルフォーゼ」と呼んで、古代ローマの作家オヴィディウスらを挙げながら、自然を詩的世界の中で展開させる詩人の想像力を讃えている。従来の研究では、このような文脈においてガイスト概念が重要な意義をもっていることは必ずしも明白に指摘されてこなかった。しかしゲーテがナマケモノを「ガイストなしのもの」と呼び、自然の健全なメタモルフォーゼの裏側にガイストの存在を見ていたことを勘案すれば、「詩的メタモルフォーゼ」を可能とする能力として、ゲーテのガイスト概念を捉えることができる。このことを本年4月のゲーテ自然科学の集い東京例会で発表し、大きな反響を得た。 2:1775年までの「若きゲーテ」の時代におけるガイスト概念の用例には共通モチーフがあることを確認した。具体的に取り上げたのは、「ドイツ建築について」(建築論)、「聖書の二問題」(神学・聖霊論)、「原ファウスト」(戯曲)の三つである。このそれぞれにおいて「ガイスト」、あるいは類似の概念である「ゲニウス」や「プネウマ」は、いずれも、(1)「頭で理解する」のではなく「心で感じる」もの、(2)私たちの内部にあるものではなく「あちらがわ」からやってくるもの、(3)物体的ではないが感性的ではある「雰囲気的なもの」として描き出されている。この内容を本年7月のゲーテ自然科学の集い京都例会で発表し、高い評価を受けた。このようなガイスト観が、1775年以降のゲーテの著作の中ではどのように受け継がれているのか、あるいは受け継がれることがなかったのか、という問いを今後の課題として継続的に検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)
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[Presentation] 若きゲーテの霊感論2013
Author(s)
久山雄甫
Organizer
ゲーテ自然科学の集い(京都例会)
Place of Presentation
立命館大学雄キャンパス
Year and Date
2013-07-21
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