スポーツにおける暴力に関する応用倫理学的研究:野球に関連して生じる暴力に着目して
Project/Area Number |
13J57093
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sports science
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大峰 光博 早稲田大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 暴力 / 体罰 / 野球 / 責任 / 責務 / 報復死球 / サンデル / コミュニタリアニズム |
Research Abstract |
本研究では、野球に関連して生じる暴力の問題を、個々の具体的事例に基づいて問題構造を明らかにし、その問題構造を踏まえて、応用倫理学の視点から個別事例問題の解明の糸口を描き出すことを目的としていた。具体的には、第一に、野球の試合場面において生じる暴力の事例である、報復死球の問題について検討した。メジャーリーグにおいて、対戦チームから故意死球を受けたチームのピッチャーが、報復死球に対して、どのような責任を負っているのかに焦点を当て、ピッチャーが直面するジレンマの構造を明らかにした。 第二に、野球の練習場面において生じる暴力の事例である、体罰の問題について検討した。勝利をより求められる環境にある野球強豪校と野球強豪校を目指す学校の部における指導者が、いかなる論理から勝利追求に対して責任を負っているのかを明らかにした。運動部活動の体罰の抜本的な解決に際しては、体罰の非道徳性を訴え、指導者の資質向上を図るだけでなく、構造的に指導者が負っている勝利追求に対する責務責任を、体罰につながらせないための具体的な方略を模索していくことが示唆された。 第三に、野球の日常生活場面において生じる暴力の事例である、不祥事に対する対外試合禁止処分の問題について検討した。野球部員による個別具体の不祥事において、直接的に不祥事を起こしていない部員の連帯責任に着目し、学生野球協会が科す対外試合禁止処分の是非に新たな知見を提供することを試みた。学生野球協会が現実に部内での暴力やいじめの事例に対して、より期間の長い対外試合禁止処分を課していることは妥当ではあるが、上級生から下級生までのヒエラルキー構造が存在している部の場合においては、反対の行動を起こすことが出来なかった下級生に対外試合禁止処分を科すことは妥当ではないと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において原著論文が3本受理されたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究で対象とした、個別具体の暴力事例に対処する上で有効となる、新たなルール・制度について提案していく。そのためにも、個々の暴力事例に関する既存のルール・制度に対して検討を加えていく必要があると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)