霊長類(マカクサル)大脳皮質の発達におけるニューロトロフィンとその受容体の役割
Project/Area Number |
14017047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 基治 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (10027500)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
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Keywords | 霊長類 / マカクサル / 大脳皮質 / 神経栄養因子 / 発達 / NT-3 / スタスミン / SCG-10 |
Research Abstract |
1.マカクサルの中枢神経系におけるニューロトロフィン-3(NT-3)の分布とその発達を調べた。NT3のタンパク質とmRNAを調べると、その分布は両者でほとんど一致していた。海馬、小脳、脊髄には大脳皮質の3〜5倍多く存在し、NT3は海馬、小脳、脊髄の神経細胞の機能維持に重要であることが予想された。次いで第一次視覚野におけるNT3のタンパク質とmRNAの発達を胎生120日(165日が妊娠満期)から成熟期まで調べた。その結果、タンパク質は胎生期から新生児期まで成熟期の約5〜10倍も存在し、mRNAも約3倍存在していた。従って、NT3は発生初期の霊長類大脳皮質の発達に重要であることが示唆された。(NeuroReport 13:1689,2002) 2.ニューロトロフィンによって遺伝子発現が制御されているSCG-10の遺伝子発現を調べた。SCG-10はスタスミンファミリーのタンパク質で、成長円錐や軸索終末に存在し、軸索や樹状突起の伸長に関与することが明らかにされている。SCG-10 mRNA量の生後発達をG3PDHmRNA量をコントロールにして定量した。その結果、SCG-10m RNA量は新生児期に最も多く、その後生後70日までに急減した。この結果は、われわれのSCG-10 mRNAのインシチューハイブリダイゼンションの結果とよく一致していた。さらに興味深いことにSCG-10 mRNAの発達過程は、NT-3タンパク質の変遷過程とも一致していた。従来NT-3の遺伝子発現は活動依存的に減少することが知られている。従って、生後の神経活動の増加がNT-3遺伝子発現を低下させ、その結果SCG-10などの成長関連タンパク質が減少すると考えられる。(Neurosci. Letters 323:199,2002)
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)