遺伝子改変マウスを利用した長期記憶保持に関する神経制御機構の解析
Project/Area Number |
14017077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥7,000,000 (Direct Cost: ¥7,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥7,000,000 (Direct Cost: ¥7,000,000)
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Keywords | 遺伝子改変マウス / ノルアドレナリン / チロシン水酸化酵素 / デシプラミン / 情動 / 味覚嫌悪 / 記憶想起 / 扁桃体 |
Research Abstract |
記憶形成は、複数の脳領域およびそれらを連絡する経路における神経系のダイナミックな可塑的変化を基盤とする。ノルアドレナリン神経伝達は、情動学習課題における記憶形成に重要な役割を持つ。我々は、カテコールアミン合成経路の律速段階を触媒するチロシン水酸化酵素(TH)をコードする遺伝子の変異ヘテロ接合体マウスの行動学的解析から、ノルアドレナリンが条件記憶の保持に必須の役割を持つことを報告した。本研究では、記憶保持におけるノルアドレナリン作用の時間依存性とこの作用に関与する脳内領域を明らかにするために、TH遺伝子変異マウスにおける味覚嫌悪条件学習の記憶障害に対するノルアドレナリン再吸収阻害剤(デシプラミン)の回復効果について詳細な検討を行なった。TH変異マウスは、味覚嫌悪条件学習課題において条件付けの1日後の記憶保持テストでは正常な学習成績を示したが、その後のテストにおいて成績が顕著に低下した。種々の時間帯でデシプラミンを投与し、TH変異マウスにおける記憶障害の回復効果を検討した結果、.変異マウスにおける記憶障害は想起の障害である可能性が示唆された。次に、ノルアドレナリンの記憶再生増強を媒介する脳領域を特定するために、変異マウスの扁桃体にデシプラミンを投与した結果、記憶保持障害の回復することが明らかとなった。以上の結果から、ノルアドレナリン神経伝達は、条件記憶学習の想起の過程に必須の役割を持ち、この効果は少なくとも扁桃体へのノルアドレナリンの作用によって媒介されることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)