神経栄養因子を介した脊髄視床路ニューロン興奮性増強機構の解明と神経回路の可視化
Project/Area Number |
14017100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
籾山 明子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00333279)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
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Keywords | 脊髄視床路ニューロン / HCNチャネル / 神経栄養因子 / 抑制性介在ニューロン / wind-up / EPSP / C-線維 / リバウンドスパイク |
Research Abstract |
生後2週齢ラットの視床VPL核に、麻酔下で蛍光トレーサーの注入手術を行った。数日後、腰部脊髄のスライス標本を作製し、逆行性標識されたスライス内の脊髄視床路(STT)ニューロンを、蛍光顕微鏡下で同定した。深部後角に分布するSTTニューロンからパッチクランプ記録を行った。従来、麻酔下ラット脊髄からの細胞外記録法で報告されているwind-up現象、すなわちC線維の低頻度繰り返し刺激により脊髄ニューロンの興奮性が漸増する現象が、スライス標本のSTTニューロンで再現するか否かを検討したところ、約半数のSTTニューロンにおいて、低頻度(0.03-0.1Hz)刺激で誘発されるスパイク個数の増加が認められた。これらのニューロンにおいては、刺激1発あたりのスパイク個数は、wind-up後では刺激開始時の平均3倍に増加した。しかし、wind-up出現の有無が何に決定されるかが未知であり、薬理学的な系統的解析にはwind-upの発生のみならずその回復も必要であるが、これも困難なため、wind-upにおける神経栄養因子の作用の解析を中断し、シナプス入力によるSTTニューロン興奮性調節機構を解析した。過分極性通電や抑制性シナプス入力によりHCNチャネルを活性化すると、STTニューロンにリバウンド脱分極およびスパイクを誘発した。リバウンドスパイク潜時は60-130msで、NMDA受容体作動性EPSPが誘発するスパイク潜時(10-40ms)よりも長かった。また、C-線維終末からのグルタミン酸放出を促進するカプサイシンを投与すると、STTニューロンにおける抑制性シナプス電流の頻度が増加した。この結果は、C-線維→抑制性介在ニューロン→STTニューロンという神経回路が存在し、これによって末梢からの痛み信号がリバウンドスパイクとしてSTTニューロンから出力される可能性を示唆すると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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