Budget Amount *help |
¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
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Research Abstract |
有効な感染免疫を誘導するには,自然免疫に続く獲得免疫の質,量を制御する仕組みが必要である.今年度,我々は獲得免疫を始動する樹状細胞(DC)の分化・成熟に関与する細胞内シグナル伝達系の解析を行い,TNF-α刺激によって生ずるERK活性化が,DCの成熟とIL-12産生能を負に調節することを発見した.また,THF-αによって分化したDCが,主としてTh2反応を誘導することを明らかにし,ケモカインのMCP-1によって発現が増強するTNF-αが細菌LPSによって誘導される脾臓マクロファージのアポトーシスを増強させることを報告した。さらに,グルタチオンなどの還元剤が,DCのCD40発現を特異的に抑制することを発見した.これらの結果は,DCの機能装飾,そしてその後の獲得免疫を人為的にコントロールする戦略の基盤となるものである.一方,DCの抗原提示能を増強させることは,感染免疫増強にとって重要な戦略である.DCの機能とケモカインの関係を解析し,CCL19がDCの遊走のみならず,樹状突起の伸展を短時間で誘導することを明らかにした.又,CCL19による遊走能は低濃度において,樹状突起伸展は高濃度のCCL19存在下で認められることを明らかにした.CCL19産生細胞が主としてリンパ節のT細胞領域に存在すること,DCの樹状突起がT細胞に対する効率的抗原提示で役割を果たすことから,CCL19が獲得免疫の始動において重要な役割を示すことが判明した.成熟DCは,抗原取り込み能が低下しているが,CCL19およびCCL21が,成熟DCによるデキストランの取り込みを数分以内に著しく増加させ,この取り込み増加にはRho GTPase蛋白の活性化が重要であることを明らかにした。
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