ヒト・マラリア原虫の赤血球内寄生を支える膜分子基盤に関する研究
Project/Area Number |
14021073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森山 芳則 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10150658)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
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Keywords | 感染症 / マラリア原虫 / 小胞輸送 / NSF / 寄生 |
Research Abstract |
昨年までの研究により、我々は、原虫外膜系の形成と宿主血球膜へのタンパク輸送に、小胞輸送系が関与する直接的証拠を世界ではじめて見いだした。すなわち、小胞輸送に必須なN-ethylmaleimide sensitive factor(NSF)のP.falciparum原虫ホモログ(PfNSF)を同定し、これが原虫膜外に放出されることを証明した。本年度はこの成果をさらに押し広げ、この新しい輸送形式の概要を明らかにするとともに、その分子機構を解明するためのプローブを作成した。すなわち、(1)感染赤血球膜のノブ構造にPfNSFとともにerythrocyte membrane protein 1(EMP1)が局在することを証明した。また、感染赤血球膜の細胞質にPfNSFとEMP1を含むエンドソーム様構造が存在することを見出した。従って、原虫はPfNSFなどの小胞輸送装置を原虫外に分泌し、エンドソーム様構造体を介して、EMP1を赤血球膜まで小胞輸送しているものと考えられる。今後はその各プロセスに関与する因子を同定することが重要である。 (2)現在、PfNSFの分泌とエンドソーム様オルガネラ、原形質膜への組み込み過程を可視化することで、輸送過程の全貌を明らかにしようとしている。このためGFP-PfNSFの原虫発現プラスミドを作成した。現在、その輸送過程の可視化にとりくんでいる。 (3)また、タンパク輸送機構にvacuolar ATPase subunitであるproteolipidが関与する可能性を検討している。そのため、P.falciparumのvacuolar proton ATPase subunitcをコードするcDNAをクローン化した。酵母遺伝学を用いた解析から、このcDNAが確かにproton channelを構成することを証明した。PfNSHと同様にGSP-Pf-proteolipidの発現プラスミドを構築した。現在、原虫内での発現の輸送の検出を試みている。 以上のように原虫体から感染赤血球膜へのタンパク輸送が本質的に小胞輸送系で行われていることを示すより直接的な証拠を得ることができた。タンパク輸送に関与する新しいエンドソーム様オルガネラの発見は、原虫が細胞外に小胞輸送の全装置をおき、輸送していることを示すものである。これはこれまでの「小胞輸送」にはみられなかった新しい概念である。今後は作成したプローブを用い、輸送過程をより詳細に解析する。さらに、この輸送に関わる新しい因子も同定したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)