Research Abstract |
本研究の目的は,今後導入が進むと考えられる,教育用デジタルコンテンツを有効に活用できる,教師にとって現実的な授業実施プロセスの総合的な支援を実現することである. 従来の学校教育において,教師の最も重要かつ労を要する作業は,一連の授業実施プロセスである.ここで,授業実施プロセスは,年間学習指導計画およびさらに詳細な学習指導計画の立案・作成,学習指導計画に基づいた授業準備,授業の実施,授業実施後の評価から成る一連の作業であり,現実には授業の実施までに大半の時間を割いている.学習目標などの入念な計画に基いて,学習者に教材を提供するという,この教師の持つ専門的役割は学習形態に関わらず重要であるが,これまでにそのプロセスに注目した研究は見られない.ITの活用により,このプロセスを効果的に支援することが可能であると考えられるため,その方法を研究した. まず,教師の一連の作業(授業実施プロセス)を,知的かつシームレスに支援するために,一連の作業に必要な文書・教材等について,それらの間の連携を考慮したメタデータを設計した.学習指導計画表,教科書,指導書の連携を検討の結果,デジタル指導書のためのメタデータを出版社間の差異は吸収し,教科別に作成した. 加えて,上記のデジタルコンテンツを利用して,授業実施プロセス支援を実現するシステムを開発した.このシステムは教科によらず各種メタデータを持つコンテンツを利用することができる.本システムにより,年間学習指導計画および詳細な学習指導計画の立案・作成,学習指導計画に基づいた授業準備という,授業実施までの作業において,教師が自由にデジタルコンテンツを利用することができる.さらに,作成した学習指導計画に従って,授業教材準備のための素材が提供される.授業教材の準備は,解説を含む教師用教材とそれを含まない生徒用教材を同時に作成できる.さらに生徒用教材を他のPCに表示して教師側と連動させて授業を実施できる.
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