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¥17,000,000 (Direct Cost: ¥17,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥17,000,000 (Direct Cost: ¥17,000,000)
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Research Abstract |
本研究は、赤血球の増殖・分化・アポトーシスの制御とその破綻がもたらす造血器腫瘍の形成過程において,血球系GATA転写因子が果たす役割を解明することを目的として行っている.本年度は,GATA-1遺伝子ノックダウンマウス雌ヘテロ接合体(GATA-1.05/X)に発症する白血病の病態について,GATA-1.05/X574例と野生型225例について検討した.その結果,GATA-1.05/Xは平均寿命388日であり,野生型と比較して有意に短命であった.死亡マウスのうち,観察し得た98例全てに脾腫大が観察された.死亡時期は100日前後と350日以降の2峰性のピークを呈し,前者はc-kit陽性の赤芽球細胞系列の,後者はCD19陽性のBリンパ球系列の異常増殖が観察された.c-kit陽性白血病細胞は形態的に未分化であり,in vitro培養系で分化誘導が可能であった.一方CD19陽性細胞に伴う白血病は脾臓のほか全身のリンパ節腫大を伴っており,ヒト骨髄異形成症侯群類似の表現型を呈していた.また,トランスジェニックレポーターマウスを用い,GATA-1,GATA-2遺伝子の時期・細胞系列特異的な発現制御機構の解析を進めた.GATA-1遺伝子については赤血球への発現を再現性良く示す人工的なGATA-1 minigeneを開発し,GATA-1 hematopoietic enhancer(G1HE)のコア配列と,IEの5'側にそれぞれ存在するdoubleGATA配列とCACCC配列が,いずれもG1HRDの機能に必須であることを見出した.また,GATA-2の造血組織における発現を再現性よく示すレポーターマウスを解析し,GATA-2遺伝子の発現制御機構が,para-aortic splanchnopleuraや卵黄嚢を中心とする初期造血の時期と,胎児肝の時期とで異なっていることを明らかにした.
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