ストレス応答キナーゼMTK1の活性制御機構とTGFβ情報伝達系における役割の解明
Project/Area Number |
14028019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武川 睦寛 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30322332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘林 和夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50272498)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
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Keywords | MAPキナーゼ / Smad / TGF-β |
Research Abstract |
TGF-βは発癌抑制作用を有し、その下流のシグナル伝達分子であるSmad4は膵癌等で高率に遺伝子変異が見出されることから、癌抑制遺伝子であることが示唆さている。本研究ではTGF-βによるp38MAPKカスケードの活性化機構を分子レベルで明らかにし、またTGF-βの発癌抑制作用におけるp38活性化の意義を解明することを目的して実験を行った。様々な膵癌細胞株を用いて、TGF-β刺激後のp38MAPKの活性化を検討した結果、癌抑制遺伝子Smad4に変異を有する細胞では、TGF-βによるp38活性化が強く抑制されており、さらに、これらの細胞に正常Smad4遺伝子を導入することでp38の活性化が回復することを見出した。また、TGF-β応答細胞にドミナントネガティブSmad4変異体を導入するとp38の活性化が阻害された。以上の結果からTGF-βは、Smad依存的な遺伝子発現を介してp38MAPKカスケードを活性化することが示唆された。さらにSmadにより発現誘導され、p38の活性化に機能する遺伝子としてGADD45βを同定した。GADD45βはp38経路のMAPKKK、MTK1の活性化因子である。またTGF-βによるp38活性化はドミナントネガティブMTK1変異体やアンチセンスGADD45βにより有意に抑制された。以上の結果から、TGF-β刺激によりSmad依存的にGADD45βが発現誘導され、MTK1を介してp38MAPKを活性化するという新規シグナル伝達機構の存在が明らかになった。さらにcDNAアレイ法を用いて、Smad依存的p38活性化により発現誘導される遺伝子のスクリーニングを行った結果、そのような遺伝子の一つとして腫瘍血管新生抑制因子TSP-1を同定した。実際、癌抑制遺伝子Smad4に変異を有する細胞ではTGFβ刺激後のp38活性化とTSP-1の発現が共に消失していることから、Smad4の機能喪失に伴うp38MAPK経路の活性化異常が発癌に深く関与することが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)