細胞死と分化のシグナル伝達における熱ショック応答システムの役割
Project/Area Number |
14028044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中井 彰 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60252516)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
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Keywords | 発生 / 腎臓 / がん抑制遺伝子 / 転写因子 / たこ足細胞 / 熱ショック蛋白質 / HSF / WT1 |
Research Abstract |
細胞の増殖や分化にともなって熱ショック応答が引き起こされる現象は以前から知られている。私たちは、これまでに細胞の増殖や分化を制御するがん関連遺伝子が熱ショック転写因子の活性を制御することを示してきた。本研究では、がん抑制遺伝子WT1と熱ショック応答のシグナルのリンクの生物学的意義について明らかにするために、HSF1欠損マウスの腎臓発生の解析を行った。 6週令のマウスの腎臓は外見上肉眼的には大きな変化はない。しかしながら組織学的解析から、近位、遠位ともに尿細管の上皮細胞の扁平化にともなう内腔の拡張、ボウマンの袋の細胞の扁平化、そしてたこ足細胞(糸球体上皮細胞)の扁平化の異常を認めた。免疫染色により、野生型マウスのたこ足細胞でEsp90の発現が著明に高く、HSF1-/-マウスではその発現が激減していることが明らかになった。Hsp90の発現低下は、たこ足細胞だけでなく異常の見られたボウマンの袋や近位尿細管の上皮細胞でも低下していた。WT1の発現については、発生過程でE14.5程度で糸球体になる領域で発現が始まり、成体ではたこ足細胞に限局した発現を示す。従って、たこ足細胞の異常はWT1機能の異常と良く一致する。それ以外に尿細管などの異常については、WT1の機能異常で説明するのは難しいと考えられた。発生過程を追ってみると、生後10日までは異常は明らかではないが、20日では糸球体がわずかに小さいことがわかった。それ以降、生後4週目でたこ足細胞、ボウマンの袋、そして尿細管の扁平化がみられる。組織学的に糸球体に異常が見られる時期に一致して、野生型マウスではHsp90の高発現が見られるようになるが、HSF1-/-マウスではHsp90発現の増加はみとめられない。この結果は、HSF1を介した熱ショック蛋白質の発現と糸球体形態異常が時期的に一致していることを示している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)