細胞に方向性を与える細胞内構造:神経細胞の極性逆転現象を用いた解析
Project/Area Number |
14034208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 謙介 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (50218567)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥5,600,000 (Direct Cost: ¥5,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | ニューロン / 細胞移動 / 軸索形成 / 成長円錐 / 微小管 / 細胞極性 / タイムプラス / アクチン繊維 / 神経細胞 / 神経発生 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
大脳皮質の興奮性ニューロンと抑制性ニューロンは発生過程が著しく異なる。ニューロンの移動や軸索形成は環境因子によって制御されていると考えられているが、細胞自身が持つ自律的な発生プログラムの存在に焦点を当てた研究は少ない。そこで本研究では、興奮性と抑制性ニューロンの自律的な発生過程を比較検討した。 ラット大脳皮質のニューロンを無血清低密度で3日間培養した。興奮性ニューロンは従来の記載どおり90%以上が既に軸索を持っていたのに対し、抑制性ニューロンは8%程度しか持っていなかった。培養を6日目まで延長すると抑制性も50%以上が軸索を持つようになった。このことから、抑制性ニューロンの自律的軸索形成は興奮性に比べて3日以上遅いことがわかった。 抑制性ニューロンの行動をタイムラプス観察した。抑制性ニューロンは短い突起を伸ばし成長円錐をつけるが、それはまもなく消失し、反対側に別の突起が伸び始めるということを繰り返していた。また、ポリリジンをコートした基質であるにも関わらず、約50%の抑制性ニューロンで細胞体の移動が見られた。このことは、抑制性ニューロンが自律的な細胞移動のマシナリーを持っていて、興奮性ニューロンは持っていないことを示唆している。 抑制性ニューロンをグリア細胞のシートの上に培養するとニューロンは自由に移動した。抑制性ニューロンの移動は頻繁に逆転していた。移動逆転に伴って新しい先導突起が出来ると中心体がそちらに向かって移動することがわかった。先導突起が中心体を引き寄せる力は、細胞核の移動が制限されている場面において顕著に認めることができた。この力は抑制性ニューロン特異的であった。 以上のことから、抑制性ニューロンと興奮性ニューロンとは、自律的な発生プログラムに違いがあることが明らかになった。また、その違いは微小管系による移動マシナリーの違いとして顕著に観察された。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)