Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
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Research Abstract |
ミヤコグサの根粒過剰着生変異体har1(Ljsym78)を用いた接ぎ木実験により、har1変異体は、シュートの遺伝子型が根の表現型を制御していることが示された。これは過去報告されているダイズ根粒過剰着生変異体nts1と同じく、シュートで合成され根に輸送される根粒抑制物質(オートレギュレーションシグナル)を失っているためと考えられた。次にミヤコグサの根系を2つに分け,時間差で根粒菌を感染させる根分け実験を試みた。その結果、感染根からシュートを経由しての非感染根へのシステミックな根粒抑制活性は、har1変異体で失われていることが示された。 GifuB-129とMiyakojima MG-20のDNA多型を用いたポジショナルクローニングにより、har1変異体の原因遺伝子の候補(ロイシンに富むレセプター様カイネース)を特定した。特定した遺伝子が原因であることは,マメで困難とされてきた形質転換個休の作成を通して証明した。ミヤコグサHAR1遺伝子のダイズのオルソログGmCLV1Bを,nts1変異体(En6500)で調べたところ,LRRドメインと膜貫通ドメインの間に終始コドンが見いだされた。興味深いことに,HAR1と最も高い相同性を示したシロイヌナズナの遺伝子は、細胞間コミュニケーションを介して茎頂・花芽分裂組織での細胞増殖を制御するCLAVATA1(CLV1)であった。CLV1にはカイネースドメインに1つのイントロンが存在する。その位置と数はHAR1とNTS1で全く変わりなかった。従って,HAR1の起源はマメのCLV1ホモログと考えられ,マメと根粒菌との共進化プロセスにおいて,細胞間コミュニケーションを介してメリステム構築を制御する遺伝子から,器官間コミュニケーションを介して全身的に共生器官の形成を制御する遺伝子へと劇的な機能転換を遂げたと推測される。 HAR1は根,茎,葉,花の様々な器官で発現がみられたものの,根粒での発現は抑制されていた。輿味深いことに,CLV1が発現している茎頂で,発現は強く抑制されていた。
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