Research Abstract |
合流式下水道越流水,道路排水及び道路路肩の堆積物質に含有される内分泌攪乱物質(ノニルフェノール(NP),17βエストラジオール(E2),ベンゾ(a)ピレン(B(a)P))についての実測調査を行い,(1)内分泌攪乱物質に関するデータの蓄積,(2)COD,SS等の他の水質指標との定量的な相関分析,及び(3)道路排水中のB(a)P濃度の予測モデルを構築した。さらに,初期雨水の貯留による負荷軽減対策を評価した。 (1)内分泌攪乱物質に関するデータの蓄積 1)合流式下水道越流水中のNPの濃度範囲は,0.17〜8.6μg/Lであり,E2の濃度範囲は0.1〜7.5ng/Lである。 2)路面堆積物中のB(a)Pの濃度範囲は,11〜490μg/kg-堆積物量であり,道路排水中のB(a)Pの濃度範囲は,0.1〜2.2μg/Lである。 (2)他の水質指標との定量的な相関分析 1)合流式下水道越流水 越流水のCOD濃度が高くなるにつれNP,E2濃度ともに高くなる。累乗近似によるNP,E2濃度とCOD,BOD,SS濃度との相関係数(R)はそれぞれ0.76〜0.88と高い。しかし,T-NとNP,E2濃度はともに相関は低い。そのため,既に構築されているCODのモデル式を用いて,越流水中のNPとE2濃度が予測できる。 2)路面堆積物・道路排水 路面堆積物のB(a)P濃度はSS濃度が高くなるにつれ上昇している。B(a)P濃度はCOD濃度との相関も見られるが,SS濃度との相関の方が高く,相関係数はR=0.84である。また,道路排水のSSとB(a)P濃度の相関は,路面堆積物のSSとB(a)P濃度ほど高くないが,一定の相関はある。そのため,路面堆積物,道路排水ともにSSのモデル式を用いてB(a)P濃度を予測できる。 (3)道路排水中のB(a)P濃度の予測モデル 1)SSとB(a)P濃度の相関が高いため,B(a)Pの流出負荷をSSの流出負荷を基本としたL=k・S^m・Q^nにて表現できた。 (4)高濃度B(a)Pの流出抑制効果 1)小規模調整池を設置した場合の年間解析を行った結果,降雨により削減効果は異なるが,B(a)Pの流出を60〜90%削減できる。
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