Budget Amount *help |
¥4,500,000 (Direct Cost: ¥4,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
(+)-Duocarmycin SAは1990年にIchimuraらによって京都六角堂で採取されたStreptomyces sp.DO-113から単離された抗腫瘍活性を示す化合物である.構造的特徴は,唯一の不斉中心を含むシクロプロパン部とピーロル環の2位にカルボメトキシ基を持つファルマコフォア部とトリメトキシインドール誘導体を持つことであり,これまで四研究グループにより全合成の報告がなされている. 我々の研究室では,二価の銅塩を触媒とする様々な2-エチニルアニリン誘導体に適用可能なインドール閉環反応を見いだしており,本反応はアセチレン末端に電子求引性の置換基を持つ場合においても環化体が得られる事を明らかにしてきた.そこで,duocarmycin SAに含まれる二つのインドール部の構築に本反応を適用し,全合成の達成を目的として本研究に着手した. 4-Amino-3-nitrophenolを出発原料として,数工程の官能基変換・導入を行うことで合成したN-(p-toluenesulfonyl)-N-(2-oxiranylmethyl)-5-benzyloxy-2-iodoanilineを分子内エポキシド開環反応に付し,選択的にインドリン誘導体を得た.その後,位置選択的な官能基導入を行った後,アセチレン単位を導入し,2-エチニルアニリン誘導体の合成を試みたが,立体的な要因から不成功に終わった.そこで最終段階でのインドール環構築は困難と考え,初期段階でのインドール環の構築を検討した. 一方,Negishiらが報告しているmethyl propiolateのカップリングの条件をN-methanesulfonyl-2-benzyloxy-6-iode-4-nitroanilineに適用した場合,一挙にインドール環を構築する手法を見いだした.得られたインドール誘導体から,テトラヒドロピロロキノリン骨格を構築し,さらに各種修飾を行い,ファルマコフォア部を合成した.最後にトリメトキシインドール誘導体とカップリングさせ,duocarmycin SAの全合成を達成した.
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