Budget Amount *help |
¥4,500,000 (Direct Cost: ¥4,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究では,アルキンと遷移金属との反応によって生じるビニリデンおよびカルベン錯体の反応制御を機軸とした,新規有機金属化合物の合成と新規触媒反応の開発を行った。ビニリデン錯体の反応制御法としては電子環状反応とシグマトロピー転位を利用した。また,カルベン錯体に関しては,複素環を含むカルベン錯体の単離とそれを利用した触媒反応の開発を行った。 ■α-ピラニリデン錯体と2-フリルカルベン錯体の新規合成法の開発 (Z)-β-エチニル-α,β-不飽和エステルと6族金属錯体との反応により,ビニリデン錯体が発生し,続く分子内環化を駆動力としてα-ピラニリデン錯体が生成した。また,(Z)-β-エチニル-α,β-不飽和アミドとの反応も同様に進行し,対応するα-ピラニリデン錯体を与えた。一方,(Z)-β-エチニル-α,β-不飽和ケトンとの反応では,π-アルキン錯体における5-エキソ環化により,2-フリルカルベン錯体が生成することを見出した。 ■1-アシル-2-エチニルシクロプロパンの接触的芳香族化反応 cis-1-アシル-2-エチニルシクロプロパンの触媒反応を検討した。このシクロプロパンは,触媒量のM(CO)_5(THF)錯体(M=Cr,W)とEt_3Nの存在下反応し,フェノール誘導体を与えた。一方,エステルおよびアミドシクロプロパンの反応は全く進行しなかった。本反応は,アシルシクロプロピルビニリデン錯体の[3,3]シグマトロピー転位により生成する7員環カルベン錯体を経て進行したと考えられる。 ■2-フリルおよび2-ピロリルカルベン錯体の発生法に基づく触媒反応の開発 触媒量のM(CO)_5(THF)錯体(M=Cr,W)存在下,(Z)-β-エチニル-α,β-不飽和ケトンとアルケンを反応させると2-フリルカルベン錯体が鍵中間体となりアルケンの触媒的シクロプロパン化反応が進行した。また,7-10族の遷移金属錯体も2-フリルカルベン錯体を経由するアルケンのシクロプロパン化反応を同様に触媒することが明かになった。さらに,(Z)-β-エチニル-α,β-不飽和イミンからは2-ピロリルカルベン錯体が発生し,アルケンの触媒的シクロプロパン化が進行することも明らかになった。一方,カルベン錯体のカルベン炭素に電子求引性置換基を有する2-フリルカルベン錯体の発生にも成功し,アリルスルフィド類との反応において,硫黄イリドの生成を経る触媒的シグマトロピー転位反応に応用できることを明らかにした。
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