Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Research Abstract |
無保護グルカールのアリルアルコールを選択的に酸化して得られるエノン体(ウロース)をグリコシル供与体に用い、触媒量のパラジウム触媒存在下、シアン化トリメチルシリルを作用させると、立体選択的1,4-付加が進行し、対応する3-ケト-1-シアノ糖が高収率かつ高いα選択性でもって得られた。本反応でパラジウム触媒として2価のパラジウムの他、0(ゼロ)価のパラジウムを用いることもできる。グルカールのグリコシル化では、2価のパラジウムのみが触媒活性をもつことと対照的である。そこで、酢酸パラジウムにポスフィン配位子を添加することで、α/β=94/6まで向上させることができた。さらに、本反応で用いたエノン体合成の際に見い出した、Pd/C触媒を用いる酸化反応をピラゾリンからピラゾールへの芳香族化に適用できることを見い出した。その後、これらのピラゾリンは、酸化剤であるPd/Cを一切用いなくとも、活性炭だけで酢酸あるいはキシレン中,加熱するのみで,対応するビラゾールへと変換されることがわかった。本反応では酸素が必須である。活性炭が効率的に酸素を吸着し,反応を促進していると考えられる。この反応はパラジウム触媒-エチレン系と異なり,水素移動型(脱水素)の反応ではなく,酸素の取込みの後,水が抜ける脱水型の反応である。 活性炭-酸素系はジヒドロピリジンからピリジンへの変換,アリールベンズオキサゾール,アリールイミダゾール類の合成(Org.Lett.,5,3713(2003)),アントラセン類の合成(J.Org.Chem.,68,8272 (2003))においても良好な結果を与えた。これらの変換は従来,過マンガン酸や硝酸あるいはDDQを用いて酸化していたが、本法により環境調和型の酸化が実現できた。
|