官能化アルデヒド誘導体からの反応活性種の創製と選択的複素環合成反応への展開
Project/Area Number |
14044073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野口 三千彦 山口大学, 工学部, 教授 (10108772)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 官能化アルデヒド / 共役アゾメチンイリド / 電子環状反応 / NH-1,3-双極子 / オキシム-ニトロン / ヒドラゾン-アゾメチンイミン / イミン-アゾメチンイリド / 環化付加反応 / 水素移動 / N-無置換 1,3-双極子 / キノンジメチド誘導体 / 複素環化合物 |
Research Abstract |
隣接位にアミノ基を有する複素環アルデヒドイミンはアミノ窒素原子に隣接する炭素上の水素原子がイミン窒素上へ1,6-水素移動すると不飽和アゾメチンイリドが生成し、その1,5-環化により立体選択的に2-ピロリン体を与えた。この2つの過程は連続しており事実上協奏的な一段階の反応とみなすことができる。立体化学の発現は最初の水素移動過程にあり、アンタラフェイシャルな移動によって生成するラセン構造のアゾメチンイリドはそのままキラリティを保ったまま閉環しているものと推定している。鎖状のアミノ酸由来のアミノ基を用いた基質での反応では4-位アミノ基とエステル部はシス配置の2-ピロリン体が選択的に得られ、環状アミノ酸由来の基質の反応ではトランス体がえられた。これ選択性の違いは遷移状態の立体障害によってうまく説明できた。 オキシム-ニトロン、ヒドラゾン-アゾメチンイミン、イミン-アゾメチンイリド異性化に代表される水素移動によるNH-1,3-双極子の発生は一方的にオキシム、ヒドラゾン、イミン側に偏っているために、これらの反応種を分子間環化付加反応に応用した例は非常に少ない。分子内水素結合形成によってNH-1,3-双極子を安定化し、その存在濃度を増すことにより分子間反応への応用を試みた。6員環状の水素結合形成が可能な複素環アルデヒドのオキシム、ヒドラゾン及びイミンの熱異性化反応は非常に穏やかな条件で進行し親双極子化合物との分子間環化付加体として補足された。環化付加反応は高収率でしかもレギオ及び立体選択的に進行した。このようにして得られた環化付加体を酸で処理すると開裂反応が進行し、複素環部とそれぞれ2-オキサゾリン、ピラゾリン及びピロリン誘導体を高収率で与えた。これらの開裂生成物はC-無置換ニトリルオキシド、ニトリルイミン及びニトリルイリドと親双極子化合物との環化付加体に対応している。これらの反応種は合成化学的にはほとんど利用されていないので、本結果はその補完的なプロセスとして注目されている。このように、複素環部分は水素移動による1,3-双極子の発生における「活性化部位」として働き、環化付加体からの開裂反応においては非常に良好な脱離基として機能しており、「新しい1,3-双極子反応系」の創製の可能性を開拓することができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)