Project/Area Number |
14045238
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70202033)
|
Project Period (FY) |
2002 – 2003
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | プロトンポンプ / レチナール / 赤外分光法 / 水素結合ネットワーク / アミノ酸置換 / 疎水結合 / 構造変化 / 内部結合水 / プロトン移動 / 光反応中間体 / 同位体効果 |
Research Abstract |
生体高分子はその階層構造を活かし、巧みな時空間制御によって機能を作り出すことができる。生体高分子が演出する機能は、マテリアル科学における究極のゴールでもある。しかしながら、実際の生体高分子がはたらく際のメカニズムがよくわかっている例は少ない。特に、非共有結合性の相互作用が機能をもたらすための動的制御に関わっている例はその重要性の認識とは別に稀である。高度好塩菌の光駆動プロトンポンプとして光エネルギーを電気化学的エネルギーに変換するバクテリオロドプシン(BR)の場合、発色団レチナール分子の光吸収による発色団の構造変化(異性化)が蛋白質構造に対する摂動をもたらし、その結果としてプロトンの能動輸送が実現する^<1)>。特に注目されるのは、プロトン放出側には親水的なアミノ酸が水素結合ネットワークを形成している一方、取込側には疎水的なアミノ酸が集まっておりプロトンの経路は存在しない。従って、光反応サイクルの過程で、疎水的な領域にプロトンを通すための水素結合ネットワークを通す必要がある。本研究では、赤外分光法を用いてプロトンポンプ過程における蛋白質の構造変化を解析することを計画した。特に、疎水結合を形成する細胞質側の領域がプロトンの輸送のためどのように水素結合の道筋をつくるのか、そしてそれがベクトル的な輸送とどのように関わるのかを同位体標識及び変異蛋白質を駆使した実験によって明らかにすることを目指した。 疎水場でのプロトン移動に関する研究は、BRと同じ古細菌ロドプシンファミリーに属し、光を情報へと変換するセンサー蛋白質であるフォボロドプシン(pR)を用いて行った。pRは情報伝達蛋白質が存在しないとプロトンを低い効率で輸送する。低いプロトン輸送効率は、BRにおいて疎水的な細胞質側領域でシッフ塩基へのプロトン供与基となるAsp96が存在しないためと考えられた。そこでAspまたはGluを導入したところ、確かにこの導入基からのプロトン移動を観測したが、その方向はBRのように一方向ではなかった。従ってBRの疎水場で方向性をもったプロトン移動は、特異な構造変化(具体的にはN中間体の生成)が密接に関わっていることが明らかになった。
|