Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
重力波は,重力場の時間変化,つまり物体の運動によって引き起こされるが,強い重力場を伴う現象でないと重力波観測のための源として期待できない.そこでまず重要となる課題は,相対論的力学系における物体運動の解析である.その解析で最も簡単な方法がテスト粒子近似であるが,そのような場合でも系の非可積分性からカオスなどの力学系特有の非線型現象が現れる.実際,回転するカーブラックホールの周りを運動するスピンをもった粒子の運動はある状況でカオス的に振る舞うことが申請者たちによって示されている.その研究を元に,J.Levin博士は一般の連星系においても同じようなカオス的振る舞いが見られ,それが重力波観測に影響することを指摘している.一方,Schnittman博士とRatio博士らの解析ではリャプノフ指数が小さく,合体するときにはカオスが起こる十分な時間がないことを示している.しかし,赤道面を離れた場合のような3次元的な物体運動においてはその多くが明らかにされていない.そこで本研究では,相対論的な力学系(質点+ディスク系およびカー時空のまわりのスピン粒子)を系統的に解析し,系の非線形現象の解明と,それに伴う重力波の研究を行った.特に,粒子がカオス的振る舞いをする場合とそうでない場合の放出重力波の性質(波形.スペクトルなど)のどの部分に違いが現れるかを解析し,観測される重力波から系の運動状態が予測可能かどうか考察した。その結果,カオス的振る舞いをしない系ではエネルギースペクトルにおいて特徴的な波数が存在するのに対し,カオス力学系からの重力波のエネルギースペクトルにはすべての波数の波が出現することがわかった.また,これらの解析を元に相対論的力学系一般における重力波の性質及び役割を明らかにすることができる.
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