Budget Amount *help |
¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
平成14年度には,直径150mm,長さ1mの円筒の内壁全体にプラズマCVD法により,膜厚が均一なDLC薄膜をコーティングすることに成功した.この薄膜はガス放出が極めて少なく,LCGTのダクトや部品へコーティングすることにより超高真空に対応した干渉計システムを実現する一つの有効な方法であることが明らかになった.平成15年度はさらにガス放出の分析を進めた.残留ガスとして水が極めて少なく水分子の吸着に対して不活性であること,また,水素が残留ガスの主成分であることなどから,通常の金属表面とは異なる性質を持つことが分かった.これはSP2,SP3結合を持つ炭素の非晶質混合物であるDLCが,その結合手に水素を担持しているからと解釈できる.200℃の加熱(真空ベーキング)では,分解等は起こらずDLCの構造に変化はないことが確かめられた. 干渉計に用いるバッフル(ダクト内壁からの散乱を遮光)へのDLCコーティングの応用に際しては,その光学特性(使用する波長1064nmに対して)の詳細を調べる必要がある.平成14年度に行なった垂直入射での反射率測定から,DLCはその表面が極めて平滑であるにもかかわらず反射率が11%と低く,バッフルとして有効であることが分かった(コーティングの下地には電解複合研磨を施したステンレス鋼を用いた).平成15年度では,さらに反射率の入射角依存性を調べた.その結果,p偏光に対しては,40度入射において反射率が5%であることが明らかになった.本来,可視から近赤外においてDLCは吸収率は低いので,このような低反射率を光の吸収からは説明できない.入射角依存性を詳しく調べた結果,厚さ1ミクロンのDLC薄膜内部での多重干渉効果により反射率が低下していると推察された. 以上得られた結果を考慮して,平成15年度に,300m干渉計(TAMA300/三鷹)に設置するためのバッフルを製作した.レーザー偏光面に対して45度の傾きを持たせ,かつ,直径400mmのダクト内に挿入するため,バッフルの幾何学的形状を最適化し,楕円状リングを四分割したものとした.これにプラズマCVDで膜厚1ミクロンのDLCをコーティングした.さらに,バッフルによる雑音低減効果(遮光効果)が真空を破らないで比較測定できるよう,バッフルに可動機構を付加した.このバッフルはTAMA300に設置され真空排気も終え,干渉計の運転を待機中である.これにより,実際の重力波観測に際しての雑音の低減が期待されるとともに,LCGTへの適用するにあたっての多くの知見が得られることになる.
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