Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
観測と分析により,大量のデータが得られたが,ここにとりまとめた重要な成果のみ記述する。 中国青島市における観測結果その:(1)青島市において採集された黄砂粒子中に約9割の粒子が変質されず,黄砂粒子の元の様子を保つままで大陸から離れることが見出された。(2)僅か数パーセントの黄砂粒子は海塩成分を含んでいる。ナトリウム,硫黄及び塩素がある程度の黄砂粒子中から検出されたが,これらの成分が現れた原因は黄砂粒子の表面沈着ではなく,元々鉱物起源の成分である可能性が高い。すなわち,大陸において採集された黄砂粒子サンプルの中のナトリウム,硫黄及び塩素の鉱物起源量は無視できないと推測された。(3)約3.3-12.2%の黄砂粒子中から硫酸塩が,約6.5-10.0%の黄砂粒子中から硝酸塩が検出された。これらの割合は日本での観測結果と比べればかなり小さい。(4)数-粒径の分布の評価結果,全ての黄砂イベントで採集された黄砂粒子の直径範囲は約1.0-8.0μmで,ペークモードは3μm前後であることが分かった。 熊本市における観測結果及び青島市の結果との比較:(1)60-85%の黄砂粒子は海塩成分と混合した。天気状況の記録によりこれらの混合粒子の形成は元の黄砂粒子と海塩粒子が直接衝突して合併したものと推測された。この結果は,黄砂粒子と海塩粒子の直接合併も黄砂粒子の変質を引き起こす一つ重要なルートであることを示唆している。(2)鉱物成分と海塩成分は混合粒子中に占める割合が違っても混合レベル別(鉱物成分或は海塩成分が粒子全体量に占める割合)の粒子らの粒径分布は全て1-8μmの範囲でペークが3μm前後であった。1〜8μm以外の範囲に黄砂粒子はほとんどなかった。(3)長距離拡散できる黄砂粒子の大きさの限界は約3μmであった。黄砂粒子拡散途中にこれより大きい或は海塩との結合による成長して3μm以上になるとすばやく大気中から除去されると考えられる。(4)91%以上の黄砂粒子は硫酸塩を含んだ。27%以下の黄砂粒子は硝酸塩を含んだ。(5)海洋大気中において黄砂粒子中の鉱物成分は粒子表面の化学反応を通して硫酸塩と硝酸塩の生産を促した。
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