Budget Amount *help |
¥47,400,000 (Direct Cost: ¥47,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥11,500,000 (Direct Cost: ¥11,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥12,200,000 (Direct Cost: ¥12,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥11,900,000 (Direct Cost: ¥11,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥11,800,000 (Direct Cost: ¥11,800,000)
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Research Abstract |
高強度フェムト秒レーザー光子場にさらされた分子において形成される多次元の光ドレスド反応ポテンシャル曲面に沿った分子の核波束の動きを,励起光パルスによって制御することが可能になれば,新しい分子制御が可能となる。しかし,パルスの瞬時周波数変化(周波数チャープ)は核波束の動きに及ぼす影響は少なが,周波数が2倍,3倍変化した場合には核波束遷移への影響は少なからずあるはずである。ただし,エタノール分子では励起波長が800nmから400nmに変化しても,光ドレスド反応ポテンシャル曲面そのものは単に電界強度の関数であり,それ自体が変化することは期待できないので,波長による違いは,波束の動きに伴う多光子励起過程あるいは非断熱遷移確率の違いとして現れる変化である。我々は,800nmフェムト秒レーザーパルスの2倍高調波を用いてエタノールイオンのC-C,C-O結合解離についてより詳細に調べ,800nmと400nmレーザーパルスの顕著な違いを明らかにした。 今年度の研究から以下のことが明らかになった。 (1)波長400nmにおいても800nmと同様に,パルス幅を長くすることによってC-O結合解離がC-C結合解離に対して促進される度合いが大きいことが明らかになった。連続した光電界下での波束の動きが重要であり,適当な核間距離での多光子励起が起きているものと推測できる。ただし,ポンプープローブ励起では同じ結果が得られない。 (2)400nm励起時の波束の移動は,パルス幅とクーロン爆発によって確認される2価イオン生成からも確認された。 (3)400nmパルスを伸長させて800nmTLパルスと併用すると,適当な遅延時間差において,高い収量で高いC-O/C-C解離比をもった解離イオン化反応を実現できる。高強度な基本波パルスは,親イオン生成に用い,波束のガイドおよび遷移に比較的低強度な短い波長のパルスを利用するスキームが有効であることがわかり,今後,3次高調波,白色光パルスの使用が期待できる。
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