Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
フランス植民地主義は,イギリス植民地主義と対照的に,原住民の同化を中心に構築されていると考えられてきた。しかし,この視座は植民地表象に他ならず,植民地政策の実態を必ずしも反映するものではない。 1830年に軍事攻略したアルジェリアで部分的ながらも推進された同化主義に基づく言語文化普及は十九世紀末になると,多くの問題点に遭遇し,その進捗が危ぶまれるようになってきた。そこで,住民の言語文化を「ある程度」考慮に入れて,フランス語の普及を図る植民地政策,すなわち協働政策への転換が図られるようになる。 この転換は,社会学者ル・ボンが1889年に開催された国際植民地会議において提起した論争に現れている。ル・ボンは,原住民に宗主国の文明語を教えるべきか,否かを検討する中で,文明国と野蛮国の間に伝統や習俗,文化の違いが大きく,その差異を乗り越えることはできないことから,言語教育の必要を認めなかったのである。 原住民の言語文化の取り扱いに関わる問題は,フランス語普及教育に現地語を使用するか,否かという教授法上の問題に還元された。なかでも,パトワ話者のフランス人児童に向けた言語同化主義を植民地の原住民にも強く求めた初等教育視学総監キャレと,保護領チュニジアの公教育整備のためにアラビア語を使用するフランス語普及を企図した公教育長マシュエルの言語政策は対照的であり,同化主義と協働主義が言語教育の文脈でどのように作用しているのかを的確に示すものである。 今年度の研究では,同化主義から協働主義への植民地イデオロギーの変遷言語教育の方法論とどのような関連にあるのかを解明した。
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