HGFを用いた炎症性腸疾患に対する粘膜再生療法の試み
Project/Area Number |
14570483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
堀 剛 宮崎大学, 医学部, 助手 (00281220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 章雄 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30291545)
宇都 浩文 宮崎大学, 医学部, 助手 (20347058)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | 肝細胞増殖因子(HGF) / 炎症性腸疾患 / HGF activator / HGF activator inhibitor-1 / c-Met / 胃粘膜障害 / 線維芽細胞 / hepatocyte growth factor / 潰瘍性大腸炎 / 腸管粘膜再生 / DSS腸炎モデル / 組み換え型ヒトHGF |
Research Abstract |
【背景と目的】肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor ; HGF)は、消化管粘膜上皮細胞をはじめ多くの組織の再生因子あるいは修復因子であり、炎症性腸疾患の粘膜修復に関わる重要な増殖因子であると考えられる。HGFは、非活性型のpro-HGFとして分泌され、HGF activator(HGFA)により活性型に転換される。また、HGF activator inhibitor(HAI)-1は、HGFAのリザーバーとして機能することが報告されている。本研究では、まず傷害胃粘膜を用いて、HGF発現とその活性化、HGFAおよびHAI-1の発現動態を検討し、さらに炎症性腸疾患モデルマウスに対する遺伝子組み換えヒトHGFの効果を検討した。 【方法】ニホンザルの胃内にカテーテルで塩酸を注入し、胃粘膜障害を誘導した後、(1)HGFの発現、(2)活性型HGF蛋白濃度、(3)HGFAおよびHAI-1の発現、(4)HGF受容体c-Metの発現、を検討した。さらに、(5)硫酸デキストラン(DSS)誘発腸炎マウスに対するHGFの効果を検討した。 【結果】(1)(a)正常胃粘膜にHGF mRNA発現は認めず、胃粘膜障害後に一過性にHGF mRNA発現が誘導され、HGFの発現を傷害胃粘膜の線維芽細胞に認めた。(b)pro-HGFは正常胃粘膜に存在し、胃粘膜傷害によって有意な増加と活性型HGFへの変換が誘導された。(2)胃粘膜組織中の活性型HGF濃度は胃粘膜傷害誘導6時間後から上昇し、48時間後も持続上昇した。(3)HGF mRNAの発現を肝組織で認め、胃粘膜障害誘導による影響はなかった。また、HAI-1の発現は胃粘膜組織で認め、胃粘膜傷害12時間後に減弱した。(4)正常および傷害胃粘膜のc-Met発現に差はなかった。(5)腸炎モデルマウスでは、HGF群では対照群に比して有意に体重減少が軽度で、大腸全長の短縮率も有意に軽度であった。また、HGF群は著しい粘膜上皮の再生を認めた。 【結語】HGFによる消化管粘膜傷害の修復には、HAI-1やc-Metよりも、HGFの産生および活性化が関与していることが示唆された。また、腸炎モデルマウスに対する遺伝子組み換えヒトHGFの効果が示された。これらのことから、遺伝子組み換えヒトHGFは炎症性腸疾患の腸粘膜修復機序を介したHGFの治療薬としての応用が期待できる。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)