受容体を介する肝細胞内-細胆管物質輸送応答の近赤外光生体分光分析
Project/Area Number |
14571134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
General surgery
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 明 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00240820)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 近赤外光分析 / 細胞内輸送 / 肝細胞 / 細胆管 / 胆汁うっ滞 |
Research Abstract |
肝細胞膜を介する物質の取り込み、細胞内輸送、細胆管への排出過程の研究に関して臨床的に利用出来る方法論がなかった。そこで近赤外光分析により受容体シグナル伝達機構を介する細胞内物質輸送応答を検定する方法を開発した。[方法、結果]家兎にICGを0.5mg/kg静脈注射し、肝臓から得られる700-1000nmの近赤外光スペクトラムを4秒の時間分解能で測定し、そのスペクトラムを拡散補正後、多成分解析を行い、オキシ、デオキシヘモグロビン、水成分を除去することにより800nmに特異的吸収帯を有するICG成分を抽出し、肝細胞内ICG吸光度の時間変化を測定した。指数関数に従う排出相においてグルカゴン0.04mg/kgを門脈注入すると、約2分間、2相性の排出の早期促進、遅延、後期促進が認められ、ふたたび元の指数関数的減衰に復する現象を見い出した。尚、ICG肝細胞内濃度のベースライン変化をtwo-compartment model (ICG(t)=-A・exp(-αt)+B・exp(-βt))にて解析し、類洞から肝細胞への取り込み、細胆管への排出過程を時定数α,βにて評価した。この2相性促進現象は、Ca/calmodulinにて制御されるmyosin light chain kinaseのinhibitorであるwortmannin、細胞内骨格である微小管の重合阻害剤であるcolchicine、細胆管細胞膜Na-K ATPaseの阻害剤であるouabine処理では認めなかった。同時に、3種の薬剤とも時定数αは変化させないが、時定数bの有意な低下を認めた。全肝虚血再潅流によりCa floodおよび細胞内骨格の損傷を引き起こすと、グルカゴンによる応答促進は認めず、時定数a, bの有意な低下を認めた。グルカゴンは2つの受容体を介して細胞内Ca、c-AMPを増加させること、肝細胞coupletにおいて細胞内Caの増加に対応して細胆管が収縮すること、Gap-junctionによるCa、c-AMPの細胞間移動を介して細胆管の収縮波が中心静脈側から門脈側に向かって生じることが知られている。従って、近赤外光分析で認められたICGの排出相における2相性の促進現象は、受容体シグナル伝達を介する細胞内骨格および細胆管収縮を反映していると考えられる。[結語]近赤外光分析により肝細胞膜受容体を介するシグナル伝達および下流の細胞内物質輸送応答が機能しているかどうかを判定できることは、肝細胞機能の新しい診断法となりうる。
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Report
(1 results)
Research Products
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