章炳麟の哲学思想と日本明治30年代思潮との比較考察
Project/Area Number |
14651003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Chinese philosophy
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
小林 武 京都産業大学, 文化学部, 教授 (20107121)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 章炳麟 / 「自主」の思想 / ショーペンハウエル / 道徳大原論 / 中江兆民 / 現象即実在論 / 斉物論釈 / 明治思潮 / 懐疑論 / 章柄麟 / 『〓書』 / 姉崎正治 / 民族主義 |
Research Abstract |
本年度は、最終年度でもあり、以下の考察と作業とを行った。 1.章炳麟の『民報』期論文に見える哲学思想、特にその根幹となる「自主」の思想と、西洋近代の厭世観・日本書との関係を比較考察した。すなわち、章炳麟は元々「独」の思想を持っていたが、これを西洋近代の倫理思想を批判的に摂取することを通して、中国近代的な「自主」の思想に成型した。この西洋近代の倫理思想とは、ショーペンハウエル著、中江兆民訳『道徳大原論』である。章炳麟は、「惻隠の情」「利己の念」「万物一体の理」といった漢語を訳文に駆使した兆民訳『道徳大原論』から触発されて、元々懐いていた「独」の思想を展開させたのである。ショーペンハウエルの倫理思想の内容とともに、兆民の翻訳がそれに大きく与っている。「自主」の思想は、個人と社会との間に潜む矛盾を越えようとしたもので、やがて『斉物論釈』において「内聖外王」の観念にまで精錬されることになる。 2.彼の主著の1つである『斉物論釈』に見える仏教的形而上学を、カントの形而上学と比較し、また明治哲学の主流であった現象即実在論と対比した。その場合、哲学的内容ではなく、形而上学としての体裁や特徴に着目した。『斉物論釈』は、主として本体論を展開し本体について論じたが、カントが本体そのものの何たるかを論じなかったのとは対照的である。また明治の現象即実在論が、その議論自体の成立根拠を問うて、本体そのものを論じなかったこととも対照的である。これは、章炳麟哲学の基本的性格に係わる。 3.これまでの研究報告と以上の考察をふまえて、報告書を作成しつつある。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)