Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
リーマン幾何における崩壊現象の研究でも,平坦なリーマン多様体をモデルとする比較定理が基本的な役割を果たした.そのため今年度も,申請書において挙げた研究目的のうちの一つ、ネイエンハイステンソルのノルムが幾らでも小さくなる偏極概ケーラー構造を許容するコンパクト多様体の構造定理を確立すること,に努力を集中した. Voisinによる小平予想に対する反例が現れ,この問題に対して当初立てていた予想がそのままの形では,成り立たないことが分かった.すなわち,上のような多様体が,射影代数多様体と微分同相になるとは,限らない.しかし、Voisinの例と双有理型同値なケーラー多様体で,射影代数多様体の微小変形となっているものがとれる.現在,予想される構造定理の定式化を,鋭意,模索中であるが,双有理型同値の概複素構造版が現れるのであれば,当初のアプローチ(概複素直線束の正則に十分近い切断から写像を構成すること)の拡張が有効であると考えている. このように,最終的な解決には,至らなかったが,コンパクト概複素多様体上の十分正な概複素直線束に値をもつ形式に対するDirac作用素の固有値とその分布に対し次のことを示した.1)固有値は,0に近い値をもつグループ(これらの固有値に属する固有切断が,正則に十分近い切断)と,直線束の曲率から定まるある値以上のグループに,分かれる.2)0に近い値をもつグループに属する固有値を,上からネイエンハイステンソルのノルムで評価した.
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