Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
日本各地およびヨーロッパ,オーストラリア東岸,ニュージーランド北島などにおける調査から,褐藻アミジグサ目の種に寄生するソコミジンコ類約10分類群を採集し,その形態学的観象分子系統学的解析(核リボソーム遺伝子介在配列ITS-2およびミトコンドリアCOX1遺伝子塩基配列)を行うとともに,単藻培養または自然藻体のアミジグサ目の種,約10種類をもちいてこれらのソコミジンコ類の食性の解析を行った。これらのソコミジンコ類はヨーロッパですでに記載されていた種(Dactyolopusioides mirabilis)をのぞくといずれも未記載の分類群であると考えられ,その内の1種D.fodiens Shimono, Iwasaki et Kawaiを新種記載した。これらの分類群の中には,形態学的には区別できないが,食性が異なり,また分子系統学的に遠いことで区別されるものも含まれ,種分化の初期段階または分化後比較的新しい分類群であることが示唆されている。また,これらのソコミジンコ類では卵嚢の形状や孵化の時期などの形質が,系統関係を反映していることが示された。 これらのソコミジンコ類に様々なアミジグサ類を餌として与えた実験では,1)いずれの種の餌も食べるもの;2)ほとんどの種の餌を食べるが,一部の種を食べないもの;3)自然下の宿主の種だけしか食べないものなどの様々なパターンが見つかった。このうち,2)の場合,食べられない餌としてコモングサ属やエゾヤハズ属の一部の種のように強酸性を示すものが含まれたが,これらのアミジグサ類は分子系統学的な解析から単系統であることが示されており,一方これらを摂食できるソコミジンコ類も系統上近縁である事が示され,ソコミジンコ類が海藻類の進化に適応的に進化していることが示唆された。
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