自発的スピン分離を応用した狭ギャップ半導体反転層によるハーフメタリック状態の実現
Project/Area Number |
14655001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied materials science/Crystal engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | インジウム砒素 / スピン軌道相互作用 / 狭ギャップ半導体 / ラシュバ振動 |
Research Abstract |
本研究の対象としているp型インジウム砒素の表面反転層の電子は、基板との間の電位が低バイアス時に狭ギャップ半導体を反映してバンド間遷移を起こし反転層中の電子は基板の価電子帯へトンネルする。極低温で縮退した基板のフェルミ準位を2-3meVと設定することによりこの精度で表面の2次元電子状態をトンネル分光解析できることがわかった。インジウム砒素の表面反転層における2次元電子のバンドは、その強いスピン軌道相互作用によりスピンによる縮退が解けており、その特異なエネルギー分散関係の磁場依存性を上記のトンネル分光法で観測してきた。これまでは、基板最表面に障壁層を設けたヘテロ構造で解析し、ゼロ磁場におけるスピン分離エネルギーとして19.6meVが得られた。これは、期待されたとおり、同一構造において有限磁場中でのラシュバ振動から得られた12.7meVよりもゼロ磁場でやや大きな値となっている。この結果は、ゼロ磁場中でのラシュバ効果等の特異な表面電子状態を解析する新しい手法として確立される大きな可能性を秘めた結果である。これらの結果をまとめて代表的論文誌に公表をすすめている。 表面反転層に直接金属が接触したショットキー構造においてもその表面反転層の電子状態に起因する2つの電流ピークを観測した。この構造は、電極を強磁性体で置き換えたスピントランジスタ構造でも観測され、その磁場依存性を詳細に調べた。基本的には最表面に障壁層を設けたヘテロ構造と同様な特性を示す。このことは、ノンアロイのオーム性接触でスピンインジェクターとして設けた強磁性電極直下の2次元電子の電子状態がヘテロ構造に近い状態で保たれ、スピン軌道相互作用も保存されていることを示している。このことはスピントランジスタの構造を考える上で大変重要な点を示唆している。本研究テーマは、このような解析にも有用であることを示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)