Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
平成16年度は今まで構築してきたモデルの問題点を整理し、モデルに改良を加え、モデルの完成度を一段と高めることができた。具体的に、1)今まで構築したモデル方程式の散逸項に拡散項の振る舞いをする部分が入り混じっていることを見つけ、これを取り除く改良を行った。モデル定数の再チューリングを複数の典型的な流れについて行い、モデルの計算精度をさらに高めることができた。2)前年度の研究に続き、改良したモデルを失速特性の異なる3種類の翼型に適用し、後縁失速型と前縁失速型の翼型の失速特性に対する計算精度を高めることができた。3)薄翼失速型の翼型に対し、(1)翼前縁で発生する層流剥離が誘発する乱流遷移、(2)逆圧力勾配の影響、(3)曲率の影響を調べ、これらの影響に対するモデリングを試みた。その結果、部分的な改善が得られたが、抜本的な改善には至らなかった。4)本モデルに、レイノルズ応力の非等方性を考慮した非線形近似を導入し、3次元内部流問題を精度よく計算できるようにした。3次元正方ダクト内部流れ、正方曲がりダクト内部流れに適用し、主流から2次流れの部分まで実験データとよく一致する結果を得た。5)本モデルを我々が開発した教育用流体解析システムに組み込み、任意の2次元流れに応用できるようにした。これらの成果を第36回流体力学講演会、第18回数値流体力学シンポジウム、日本機械学会東北支部第40期講演会で報告した。また、学術誌に投稿する準備をしている。以上、本モデルを完成に近い形に仕上げることができた。本モデルは、(1)同じ近似レベルのモデルに比べ、計算精度が高い。(2)乱流の長さスケールを陽的に与える必要がなく、幾何学形状が複雑な流れ問題にも容易に対応できる。(3)層流から乱流への遷移を表現できる。(4)形が簡単で、数値解析に乗りやすい;等の特徴があり、幅広い工学問題への応用が期待される。本研究は当初の研究目的をほぼ達成できたと総括する。