Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
高齢化社会への移行とともに,動脈硬化に起因する冠動脈疾患や脳動脈疾患が増加している.動脈硬化症の様々な病態が,血管壁粥腫の物理的な脆弱性(易破裂性)により引き起こされると考えられてきたが,臨床の現場で,血管壁の動脈硬化部位(粥腫)の脆弱性を,その内部物性まで踏み込んで計測し得る方法は今だ開発されていない.本研究では,動脈壁振動を,壁内に設定した2つの注目点において,超音波を用いて独自の手法で高精度に計測し,波形解析することによって,壁内の2間での振動(ずり弾性波)の伝搬速度と伝搬減衰を各周波数ごとに算出し,さらにずり弾性率・ずり粘性率を決定することを目的としている.そのため,本研究では,以下の研究成果をあげている. 1、粘性特性計測 ずり弾性波の伝搬減衰と伝搬速度を用いて,ずり弾性定数(剛性率)とずり粘性定数を決定するための手法を開発した.これを,1本の超音波ビーム上の数百ミクロン離れた2点間の微小領域で決定し,断面内のすべての微小領域ごとに,ずり弾性定数とずり粘性定数を決定することによって,ずり弾性定数とずり粘性定数に関する断層像を得ることができる. 2、臨床応用と生体組織ライブラリの作成 血管外科において,重篤な動脈硬化症患者の動脈置換手術で摘出される動脈壁へ,手術による摘出前に(1)で開発した手法を適用し,弾性定数に関する断層像を得た.また,摘出後に被測定部位の病理検査を行い,得られた染色像と弾性値の断層像の対応を画素単位で行って,生体組織ライブラリの作成を行った. 3、総合評価・総括 生体組織ライブラリにおける識別正答率から,画素単位に弾性線維・膠原線維,脂質・血栓の各組織への分類・着色を行う『電子染色』への可能性を示した.
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