生体膜グリケーション指標としてのアマドリ型アミノリン脂質の免疫定量
Project/Area Number |
14656031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用微生物学・応用生物化学
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 陽夫 (宮沢 陽夫) 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20157639)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 糖化脂質 / グリケーション / 糖尿病 / 脂質過酸化 / 膜リン脂質 / 過酸化リン脂質 / 免疫定量 / ハイブリッド質量分析装置 / アミノリン脂質 / 高血糖 / アマドリ化合物 / 膜脂質過酸化 / 活性酸素 |
Research Abstract |
先に我々は、種々の疾患において、ヒトの血液、臓器、細胞を構成している膜リン脂質は過酸化反応を受け、生じた過酸化リン脂質(PCOOH)が細胞障害の原因になることを明らかにしてきた。例えば、糖尿病者の血漿PCOOH濃度は健常者の1.5倍に高く、PCOOH増加は糖化ヘモグロビン値(Hb_<A1C>)と正相関した。そこで、この膜脂質過酸化の原因物質を検索した結果、アミノリン脂質がグリケーションを受けて生成するアマドリ型の糖化脂質(Amadori-PE)を発見し同定することに成功した。とのAmadori-PE高純度品の合成に成功し、これが鉄イオンと共存すると活性酸素を産生し、脂質過酸化を誘発することを証明した。すなわち、糖尿病などの生体メイラード反応で細胞器官の膜リン脂質が糖化(グリケーション)されAmadori-PEに変換されると、これが原因になって膜脂質過酸化(PCOOH増加)が起こり、疾病の増悪化に関わるという従来全く知られていない可能性を明示した。 糖化脂質と糖尿病の関わりをさらに明確にするためには、ヒト体内のAmadori-PE量を知る必要がある。しかしながら、ヒトの血液や組織などの臨床検体における糖化脂質の存在については世界的にも未だ確証されていない。そこで本研究では、Amadori-PEの免疫定量法の開発に取り組んだが、感度の問題からヒト試料の分析は困難であった。一方、本年度から、新型の高性能リニアイオントラップ型ハイブリッド質量分析装置(4000Q TRAP)が利用できるようになった。4000Q TRAPによる測定を試みた結果、ヒト血漿にAmadori-PEが存在することを世界ではじめて明らかにした。Amadori-PEは、成人健常者の血漿には少なく、糖尿病者とくに腎臓病を併発した透析患者の血漿から最も多く検出された。血漿のAmdori-PE濃度が高いと、過酸化リン脂質(PCOOH)濃度も高値となった。したがって、"高血糖状態に生じる脂質のグリケーション産物であるAmadori-PEは膜脂質過酸化反応を惹起することで糖尿病の増悪化につながる"という我々独自の仮説が裏付けられた。糖尿病の発症における生体内グリケーションの指標として、Amadori-PE分析の有効性が確証された。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)