Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
1.Coptotermes formosanus兵隊カーストの額腺分泌液に含まれるタンパク質の遺伝子クローニング額腺分泌液のFolch分配で得られた水溶性成分をSDS-PAGEで分析し、24KDaの位置に認められたタンパク質バンドを切り出し、ゲル内トリプシン消化を行った。トリプティックペプチドを回収し、MALDI-TOF/MSにより8種のペプチド断片を示す分子イオンピークが認められ、それらの値を基にペプチドマスフィンガープリントによりタンパク質の同定を試みたが、MASCOTデータベース上でのヒットするタンパク質は認められなかった。そこで、主要な3種のペプチド断片ピークm/z 830、1508、2028についてMS/MS測定を行い、m/z 830のペプチドの配列は、VYVFFRで、m/z 1508のペプチドは、TVSHRNYDFTL(I)RあるいはTVSTFDYNVGHL(I)Rで、m/z 2028は、L(I)ASKSAL(I)AFDTMYAVGKVRあるいはL(I)ASDNGL(I)AFDPANAL(I)GNDPRの配列であると推定された。このうち、m/z 1508のペプチド断片のN-末端側の3残基の配列TVSは、24KDaタンパク質のN-末端配列であると決定されているAPKCDVGKTVSのC-末端配列の3残基と同一であり、さらにそのスレオニンが、リジンと結合していることから、このm/z 1508のペプチドは、タンパク質のN-末端側の断片であることが示唆された。MS/MS測定で得られた配列を基にタンパク質のデータベース検索を行ったが、ヒットするタンパク質は認められず、この額腺分泌液中のタンパク質は新規成分であることが強く示唆された。そこで、m/z 1508のペプチド断片の一部HRNYDFTLをプライマーにして、兵隊カーストから抽出したmRNAの増幅を試み、目的の分子量の領域にスメアなバンドが検出された。現在、プライマーの配列を変えて、mRNAの増幅を試みている。