斜視の中枢機構の研究:前頭眼野領域による輻輳性眼球運動の制御と適応学習
Project/Area Number |
14657440
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Ophthalmology
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陳 進輝 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90236844)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 眼球運動 / 輻輳運動 / 前頭眼野 / サル / 前庭入力 / 適応学習 |
Research Abstract |
輻輳開散運動は、3次元空間からの視覚情報を適切に取り込むために使われる重要な眼球運動である。この眼球運動が正常に発達しなければ、立体視機能が正常に発達しないため、単に眼科における斜視だけの問題ではなく、小児の正常な脳機能の発達のためにも重要な問題である。本年度は、前頭眼野領域が輻輳性眼球運動の制御にどのように関わるかを、視標追跡を訓練したニホンザル3頭を用いて調べた。コンピューターグラフィックスによりモニター画面上に3次元空間で動く立体視標(スポット)を作成し、それを左右眼への投影画像として、LCDシャッター付き眼鏡を通して交互に60Hzで与えた。これにより輻輳性および滑動性眼球運動を誘発させ、前頭眼野後部領域から視標追跡に応答したニューロンを記録し、その応答特性を調べた。その結果、輻輳性或いは前額面の滑動性眼球運動に応答したニューロンの63%は両眼球運動に応答した。滑動性眼球運動単独に応答したのは20%、輻輳性眼球運動単独に応答したのは17%であった。サルに静止したスポットを固視させ、第2スポットを奥行き方向に動かして、これら前頭眼野後部領域ニューロンの視覚応答を調べると、それらの過半数は応答し、視覚応答の最適方向は輻輳運動の最適方向と一致した。またスポットの代わりに視野全体にパターンを呈示し、それを奥行き方向に動かした場合でも同様の視覚応答が観察された。さらに視標呈示をステップ状に与えることにより、視覚応答および輻輳運動応答の潜時を調べると、視覚応答成分を除いても運動応答成分は、過半数のニューロンで眼球運動に先行していた。以上の結果から、奥行き方向に動く視覚対象に対する輻輳運動の発現に前頭眼野後部領域が関わり、その運動成分は、輻輳成分と前額面の滑動性眼球運動を統合した信号である明らかになった。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)